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「プレスリー妻のウエディングドレス」「オードリーのメタリックミニ」と「大量生産」「近未来」…映画衣装から見る<1960年代>という時代

2024/04/13

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 芸能, 映画, 音楽, 社会

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 そんなオードリーがクチュールと決別し、パコ・ラバンヌやマリー・クワント等の既製服(全部で29セットアップ)にシフトしたのが『いつも2人で』だった。

 また、イヴ・サンローランはジバンシィにとってのオードリーと同じく、彼のミューズであるカトリーヌ・ドヌーヴのために、『昼顔』(1967年)でヒロイン、セブリーヌが着るミリタリー調のダブルブレストコートを数点デザインしている。

 ミリタリーはビートルズも愛用していた“モッズ”の必須アイテムの一つ。ファッションの帝王も60’sムーブメントとは無縁ではいられなかったのだ。

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その後もオマージュされる60年代ファッション

 歴史は繰り返し、ファッションにもリバイバルブームがやってくる。

 1979年に製作された『さらば青春の光』は、1960年代の“モッズ”全盛期を駆け抜けた若者のライフスタイルにフォーカスして、“ネオ・モッズ”、“モッズ・リバイバル”と呼ばれて日本を含めた世界各国で新しい“モッズ”フォロワーを生んだ。

 劇中には、ビートルズっぽいピチピチのスーツを作るために、バイトで貯めた資金を手に街の仕立屋で仮縫いする“モッズ”野郎がいる。服に命を賭けた微笑ましくも涙ぐましい若者の姿がある。

 古い価値観に別れを告げ、流行りの服を買うためならどんな苦労も厭わない。そんな若者の心意気が、60’sカルチャーの魅力の根幹にあり、今も時々、そんな時代にオマージュを捧げた映画が作られる理由なのかもしれない。

「プレスリー妻のウエディングドレス」「オードリーのメタリックミニ」と「大量生産」「近未来」…映画衣装から見る<1960年代>という時代

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