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そんなオードリーがクチュールと決別し、パコ・ラバンヌやマリー・クワント等の既製服(全部で29セットアップ)にシフトしたのが『いつも2人で』だった。
また、イヴ・サンローランはジバンシィにとってのオードリーと同じく、彼のミューズであるカトリーヌ・ドヌーヴのために、『昼顔』(1967年)でヒロイン、セブリーヌが着るミリタリー調のダブルブレストコートを数点デザインしている。
ミリタリーはビートルズも愛用していた“モッズ”の必須アイテムの一つ。ファッションの帝王も60’sムーブメントとは無縁ではいられなかったのだ。
その後もオマージュされる60年代ファッション
歴史は繰り返し、ファッションにもリバイバルブームがやってくる。
1979年に製作された『さらば青春の光』は、1960年代の“モッズ”全盛期を駆け抜けた若者のライフスタイルにフォーカスして、“ネオ・モッズ”、“モッズ・リバイバル”と呼ばれて日本を含めた世界各国で新しい“モッズ”フォロワーを生んだ。
劇中には、ビートルズっぽいピチピチのスーツを作るために、バイトで貯めた資金を手に街の仕立屋で仮縫いする“モッズ”野郎がいる。服に命を賭けた微笑ましくも涙ぐましい若者の姿がある。
古い価値観に別れを告げ、流行りの服を買うためならどんな苦労も厭わない。そんな若者の心意気が、60’sカルチャーの魅力の根幹にあり、今も時々、そんな時代にオマージュを捧げた映画が作られる理由なのかもしれない。
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