今年も夏休みが始まりました。でも、今の学校の暦は、以前とは違うことをご存じ? 四十日の長い休みの最後の三日間で宿題を片づけて、九月一日の始業式に日焼けした顔で登校する――そんな昔なつかしい夏休みは、姿を消しつつあるようです。
夏休みの期間は学校によってさまざまで、休みに入るのが七月下旬という学校もあれば、お盆明けには授業を再開するところもある。学力向上を目指して授業日数を増やすために、夏休みが削られているのよ。
学力重視の地域では、小学校でも三十日ほどしか夏休みがないの。冬にインフルエンザが流行して学級閉鎖になっても授業日数が確保できるよう夏休みを減らす学校もあるんですって! 学級閉鎖になるかどうかもわからないのに、本当に子どもたちがかわいそう。
そもそも授業を増やしたからといって学力が上がるとは限らないでしょ。それなのに、ゆとり教育から詰め込み式に逆戻りして、どの学校も授業時間確保に躍起になっている。今、全国の公立小・中学校の約二割が(従来の三学期制ではなく)二学期制を採用しているのも、始業式・終業式の二日分を節約して授業に回したいからなんです。
こんなバカなことをやっている国は他にないんじゃないかしら。だって学力が世界トップクラスのフィンランドの夏休みはたっぷり二カ月もあるのよ。夏休みは先生も生徒も学校に来ないし、入口に鍵がかけられていて誰も入れないとか。そのあいだ先生はバカンスを楽しんで視野を広げ、子どもは遊びを通じて成長する。それでも学力はつくのだから、やはり学習の量と質は別物なんです。
ヘタな授業をいくらやっても学力が伸びないことは、現場の先生方もわかっているはず。子どもにとって大切な夏休みを奪わないで! と声を大にして言いたいわ。