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「学校のことを考えると、震えが止まらない」小6の娘が“いじめ”を明かすと、虐待していた母親はその場で…

『母を捨てる』より#4

2024/06/05

genre : ライフ, 社会

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 図書室の窓の外から聞こえるサッカーボールを蹴り上げる音、そしてグラウンドを駆け回る男子の声。窓から窓へ抜けていく風。たなびくカーテン。舞い上がる校庭の砂ぼこり。私が小学校時代の記憶でいつも思い出すのは、そんな図書室の窓越しに見える光景だ。

※写真はイメージ ©mapo/イメージマート

 母によってアイデンティティをボロボロにされた私は、学校でもやっぱりボロボロになった。私は、いつだって誰かの格好のサンドバッグだった。人権なんて、なかった。そんな役割が当たり前だと思って生きてきた。

 そうして自己肯定感を持てないまま、大人への階段を駆け上がっていった。

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 結局、私は小学校を卒業する間際までの2年間、いじめを耐え抜いた。しかし、限界が近づいていた。私にとって、中学進学が日に日に近づいていたからだ。それは、私にとって一番の恐怖であった。

中学校に上がっても生き地獄は続く

 私はわかっていた。中学校に上がっても、きっとこのいじめは続く。この生き地獄は何も変わらず続いていく。いや、それでさえ楽天的な見通しに過ぎない。一番考えられるのは、いじめが、もっともっとひどくなるということだ。

 うちの学区の中学校はマンモス校だ。他校の生徒も合流することになっている。私はその大量の同学年たちから、小学校時代とは比較にならないいじめを受けるだろう。しかも、中学になると先輩後輩関係が厳しいという噂もあった。だから先輩たちからもいじめを受けることになるのは必至だ。

 きっとこの小学校時代は、まだまだぬるま湯なのだ。私は、暗黒の中学生活を想像するだけで、怖くて足がすくむようになった。中学校に行きたくない。いや、それどころか、もう生きたくない。そうして、毎日「死」を考えるようになった。

 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。

 そんな言葉が頭の中を渦巻いてとまらないのだ。

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