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学校のことを考えると震えが止まらない

 小学校の卒業が日に日に近づくにつれ、私は鬱状態になっていった。食事が喉をとおらないのだ。そしてついに朝、布団から出ることができなくなった。体が鉛のように重い。体が重い。心が重い。学校のことを考えると無気力になり、震えが止まらなくなる。

 母は当初、「サボってんじゃないわよ!」とそんな私の布団を引きはがし、無理やり学校に行かせようとした。しかし、私の尋常ではない様子にただならぬものを感じたようだ。そして、学校で何があったのか、問いただそうとした。

 ここまできたら、母に本当のことを話すしかない。私は、重い口を開いた。2年間、いじめにあっていたこと。そして、中学に進学すると、それがますますエスカレートする可能性があること――。

 母はその場で、ストンと崩れ落ちた。まさか、わが子が学校でいじめにあっていたなんて、思いもしなかったらしい。母は、もう学校に行かなくてもいい、と言った。今思うと、母のこの選択だけは間違っていなかったと思う。そもそも、もう私の心身はズタズタに傷ついていて、学校に行けるような状態ではなかったからだ。

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心は悲鳴を上げていた

 何も感じないと心に決めていたが、やっぱり、あのときの私にとって、いじめはつらかったのだと思う。小学校時代を思い返してみて、私の心に浮かび上がるのは悲しみの感情だからだ。どんなに心に蓋をしても、強がっていても、長年のいじめで私の心は悲鳴をあげていた。

 コップの水があふれてこぼれ落ちるみたいに、じわじわと自分の内部から感情があふれ出したのだった。気づかぬうちに私の心は修復不可能なほど、ズタズタに傷ついていた。

 そして、私はその日から不登校になった。あの過酷ないじめが待っている環境に、もう戻らなくていい――。それだけが救いだった。