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つまり、「少し飲んだほうが長生き」のJカーブは幻想で、「健康で長生きしたいなら、お酒は少量。ベストはゼロ」ということです。

なぜ休肝日が必要なのか

お酒を減らすというと、すぐに思い浮かぶのが「休肝日」でしょう。多くの方が、健康診断の肝臓に関する数値を気にしながら飲んでいます。肝臓の解毒作用に関与するγ-GTPの値が正常範囲なら、「肝臓は元気なんだからこのまま飲み続けても大丈夫♪」「数値が悪くないならお酒を減らさなくてもいいんじゃない?」と一喜一憂しています。

実は、肝臓はもともと修復機能が高い臓器で、毎日飲酒していても少量であればそれほど傷むわけではありません。ではなぜ、週に1日か2日、お酒を飲まない日を作ることが大事なのでしょう。

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お酒を毎日飲んでいると、脳の報酬系と呼ばれる神経系が刺激されます。飲酒でこの報酬系が満たされると、「楽しい」「気持ちいい」「幸せだ」といった感覚が引き起こされます。すると脳はしだいにこの感覚を記憶し、もっと刺激を求めるようになるのです。

長い飲酒習慣の中で「だんだん酒量が増えてきた」というのは、脳の報酬系が「もっと! もっと!」と刺激を求めることによって起きた現象と考えるのが妥当です。

あるいは、迎え酒のように「飲まないと気持ち悪いので飲む」というのも、アルコールの刺激が切れてしまったために起こる感覚です。お酒を飲むと気持ち悪さがすっと解消されるので、また飲む。この状態になると、かなりアルコールに対する依存性が高い状態と言えます。

本当は脳を休ませることが大事

脳の報酬系には多種類の神経伝達物質があり、それぞれが複雑に機能しています。少し専門的になりますが、飲酒量と脳内メカニズムの関係について、ショウジョウバエをモデルに行った東北大学の研究を紹介しましょう。

この研究では、アルコールを与え続けたハエと与えなかったハエを比較して、脳内のメカニズムを観察しました。アルコールを与え続けたハエは、脳内で快感を伝達する神経物質であるドーパミンの受容体が増加していたのです。