生物がアルコールを摂取することによって快く感じるのは、脳内の報酬系と呼ばれる神経系が活性化するためですが、この報酬系の中で中心的な役割を果たしているのがドーパミンです。アルコールのみならず、麻薬や覚せい剤などの依存を形成する薬物にはドーパミンの放出や受容を活発にする作用があり、そのためこれらの摂取・使用が快感をもたらします。
この研究でアルコールを与え続けられたハエは、ドーパミン受容体の増加と同時に、アルコールに対する嗜好(しこう)性が高まりました。つまり、脳の報酬系が乱れ、アルコールの摂取を好むようになったのです。人間もこれと同じです。お酒を飲み続けていると脳の報酬系が刺激され、ますますお酒が欲しくなります。
ですが、飲酒による刺激が途切れるとこの興奮が元に戻り、脳の報酬系は正常化します。週に1日か2日だけお酒を飲まないことで、脳への刺激をマイルドに保つことができるのです。
だから、肝臓を休ませる「休肝日」も大切ですが、お酒をおいしく飲み続けるために意識してほしいのは定期的に「脳を休ませる」こと。大切なのは「休脳日」なのです。
どうすれば二日酔いは治るのか
「お酒と一緒に水を飲むと、アルコールの分解が速くなる」。お酒の場で、よく聞くフレーズではないでしょうか。ところがこれは誤解です。
減酒の面からいって、お酒と一緒に水を飲むこと自体はおすすめです。確かに、飲んだ水の分、お酒の総量を減らしやすくなります。脱水症状を防ぐこともできます。しかし、水がアルコールの分解を助けるわけではないのです。
飲んだ翌朝、起きられない、頭が痛い、吐きそう。飲む量をセーブできないと二日酔いに襲われます。飲み過ぎれば、いくら水を飲んだところでお酒は体に残ってしまいます。血中に溶けたアルコールの代謝は、主に肝臓で行われます。
アルコールが体外に排出されるまでの時間の目安は、ビール缶1本(500ml)、焼酎グラス1杯(150ml)、日本酒1合(180ml)は約4~5時間。ワイングラス1杯(100ml)は約2時間。ウイスキーならロックでグラス1杯(150ml)は約8時間と言われています。