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 これらの現象を見れば、中国の不動産バブルは明らかに崩壊したと言っていいだろう。

 崩壊のきっかけは2つあった。1つは習主席が「家は住むためのものであり、投機の対象ではない」と呼び掛けたことだった。これを受けて、人民銀行は住宅ローンに対する規制を強化した。もう1つはコロナ禍だ。3年間続いたゼロコロナ政策のために、たくさんの中小零細企業が倒産し、若者の失業率は大きく上昇した。その結果、一般家計は生活防衛に走って消費を控えるようになり、不動産需要が落ち込むこととなった。一方、富裕層と中所得層は海外に移住しようと手持ちの不動産物件を売りに出し、不動産市場は供給過剰になったのだ。

工事がほぼ進んでいないマンションの建設現場(中国四川省資陽市) ©時事通信社

中国人の「土地」に対する特別な思い

 もともと、中国人は土地に対して特別な思いを持っている。

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 少し前のことだが、ある中国人女性が沖縄の無人島を買ったと報道され、日本中が大騒ぎになった。この女性が中国政府のスパイで、無人島が中国人民解放軍の軍事基地にされてしまうのではないかと心配した人もいたようだった。また、以前から一部の評論家が、外国人による日本の土地や不動産の購入を規制すべきとテレビなどで主張しており、この議論にも火が付くこととなった。

 無人島を買った中国人女性については今のところ、中国政府のスパイである証拠は出てきていない。本人もここまでの騒ぎになって驚いたはずだ。

 この一件は、土地に対する日本人と中国人の認識の違いがよく表れている。実は中国人は地球上に自分の土地を持つことに、日本人が想像する以上に感動を覚えるものなのだ。自分の土地とは、誰にも侵害されない私有財産を意味する。日本ではごく当たり前のことだが、中国ではそれが許されない。土地はすべて国のものであるからだ。マイホームを買っても土地の所有権がないので、道路を敷くなどの必要が出てきたら、政府が強制的に民家を取り壊すことができる。自分の財産が法的に守られていないため、最低限の安心すら得られない。だからこそ中国人富裕層は海外に移住して、まずはマイホームを買いたいと考える。多くの中国人は土地の権利書(登記簿謄本)を手に入れた瞬間、なんともいえない感動を覚えるという。