2024年シーズンは好調な滑り出したものの、球団史上初の2年連続最下位、ここ10年で9年のBクラスと低迷が続いていた中日ドラゴンズ。ファンの間では監督解任を求める声も上がっていたが、フロントは立浪監督を見守っていく態度を貫いた。その背後にはどのような思惑があったのか。

 ここでは、スポーツライターの喜瀬雅則氏による『中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由』(光文社新書)の一部を抜粋。球団サイドと本社サイドの間で行われたやり取りの一部を紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)

立浪監督近影

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「立浪ドラゴンズ」は2年連続最下位でも視聴率アップ

 そのドラゴンズ戦中継の“運命”を左右する視聴率で、驚くべき現象がある。

 2年連続最下位なのに、立浪ドラゴンズの中継視聴率は、2023年シーズンは前年よりも上がっているのだ。

 2023年、東海テレビのナイター中継13試合における世帯平均視聴率は年間7.5%で、前年から0.6%アップ。CBCテレビのナイター中継13試合でも同7.9%で前年比0.1%増。だから、全国放送のバラエティー番組を流すよりも、中日のナイター中継の方が名古屋では稼げるコンテンツになる可能性を今なお、十分に秘めているのだ。

 ちなみに、落合政権下ではあれだけチームが強くても、ナイター中継の世帯平均視聴率が5%程度だったという。

©文藝春秋

監督交代の検討案に対し、本社サイドは…

 さらに特筆すべきは土曜日、日曜日のデーゲーム中継だ。

 東海テレビのデーゲーム中継12試合での世帯平均視聴率における年間7.8%は、前年比0.8%増。CBCテレビのデーゲーム中継10試合では同8.1%と前年から0.5%アップ。日曜の昼間にこれだけの視聴率をドラマやバラエティー番組で出すことは不可能に近いそうだ。

 立浪ドラゴンズは、安定して“稼げるコンテンツ”なのだ。

 球団内部では2024年に向け、球団史上初の2年連続最下位、ここ10年で9年のBクラスという長き低迷に、監督交代の話も浮上したそうだ。