1ページ目から読む
2/3ページ目

 ただ、球団側のそうした検討案に対し、本社サイドからこう問い質された。

「立浪を代えて、今のように稼げるようになるのか。それ以上の案があるのか」

 球団サイドはそれこそ二の句も継げず、立浪の続投が決まったのだという。

ADVERTISEMENT

©文藝春秋

落合監督が最後に降ろされてしまった要因

 もたれ合い、支え合いながら稼ぐという仕組みの中で、もちろん中日が強ければ問題はない。しかし「弱くても稼げる」という明確な証拠を突きつけられれば、監督を交代させるというような“政変”に繋がらないのも、これもまた当然の道理だろう。

 稼げる、魅力あるコンテンツであり続けられるのか。

 あれだけ勝っても、落合監督が最後に降ろされてしまった大きな要因の一つに、この「視聴率」の問題がある。

©文藝春秋

 立浪和義というドラゴンズのレジェンドへの期待感と人気ぶりは、2年連続最下位でも失せていない。その一つの証明が「視聴率」に表れている。

 名古屋におけるドラゴンズという「コンテンツ」の偉大さが、より際立つことになる。

古くからの枠組みが崩れないのは“誰も困っていないから”

 名古屋市の人口は232万6518人(2024年2月1日現在)。

 東京のおよそ5分の1。その市場規模で、本拠地のバンテリンドーム ナゴヤには1試合3万人近い観客が詰めかけ、それを年間70試合近く開催するのだ。

 1試合平均2万8千人のサッカーJ1・名古屋グランパスエイトはJリーグの中でも有数の人気チームだが、それでも年間動員は50万人程度。バスケットボールのBリーグでは満員でも1試合5000人程度。30試合で9万人がクラブの目標だ。

 森脇は、スポーツ局長という立場から、中日ドラゴンズという“興行主”のすごさを改めて感じるのだという。