「バスケットの9万人だって、ドラゴンズなら3試合で軽くいっちゃうような数字じゃないですか。年間で200万人集めるわけですよね。そんなコンテンツが他に存在するのかといったら、存在しないわけですよ。名古屋みたいな230万人くらいの街で、東京からしたら5分の1ですよね、そのマーケットで毎日2万人、どうかすると3万人以上を、七十何日もやれるコンテンツなんてないんですよ。どこまでいったって、ね」
だから、古くからの枠組みが崩れない。
12球団で初、ラジオ局とオフィシャルスポンサー契約を交わす
それは、はっきりといえば「儲かる」からだ。既得権を守ることが、自分たちの存在意義にも繋がってくる。
「実際、2023年でいえば困っていないんですよ」
森脇がそう語れば、大澤も、自らの“立ち位置”を、明確に表現してくれた。
「東海ラジオって、ドラゴンズのオフィシャルスポンサーですからね。ウチがですよ。球団が、じゃないんですよ。そんなの、全国のラジオ局では初めてだったらしいです。そんなことが、行われる地域なんですからね」
プロ野球球団とラジオ局の「オフィシャルスポンサー契約」は、12球団でも初のことだった。一般的には、球団がラジオ局をスポンサードしたり、放映権を買ってもらえるようにラジオ局にセールスをかけたりするはずだ。
それが、全く逆なのだ。
戦前から名古屋で築いてきた伝統と歴史
「ドラゴンズステーション」と名づけられたワイド放送は、ナイター時期なら午後5時15分からスタートし、中日の試合前情報を伝え、そのまま「ガッツナイター」のナイター中継に入って、試合終了まで実況することになる。
それこそ、ドラゴンズ一色の番組構成になっているのだ。
中日は1936年創設、つまり戦前から脈々と名古屋で築いてきた伝統と歴史がある。
古くからのしがらみとも言えそうな既得権に守られた枠組みの中で、今もなお、十分にやっていけるからこそ、こうした“もたれ合いの仕組み”が崩れないのだ。