「とにかく“生感”にこだわりました」
―― 原画集には、皆さんの「るーみっく愛」と「漫画愛」が結実しているように感じます。そもそも原画集を企画されたきっかけは何だったのでしょうか?
森脇 『週刊少年サンデー』が創刊65周年を迎えるにあたり、雑誌を象徴する作家である高橋先生の記念碑的な本を出せないかなと。そこで、今までにない高精細な原画集をつくる企画が始動しました。
―― 本画集には、『サンデー』連載作品である『うる星やつら』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』『MAO』に加えて、『ビッグコミックスピリッツ』に掲載された『めぞん一刻』の原画が400ページにわたって収録されています。とはいえ画業64年のうちに描かれた作品は数千点にのぼるはず。どのようにセレクトされたのでしょうか?
森脇 編集部で候補をある程度ピックアップして、高橋先生にご意見を伺いました。イラストだけではなく漫画の原稿も収録していまして、こちらも「この回はどうでしょうか?」とリストにまとめてご自宅まで持って行きました。「るーみっくファンの皆さんが一番喜ぶ話ってどれだろう」とかなり密に議論を交わし、先生にOKをいただいた渾身のセレクションです。
―― 懐かしの「写植」が貼られた原稿もありますね。
森脇 『犬夜叉』の初期あたりまでは、フキダシにひとつひとつ切り貼りしていたんです。そのアナログな工程がわかるよう高精細に印刷していますので、クラシックなファンの方もきっと楽しんでいただけるかなと思います。
有藤 『うる星やつら』や『めぞん一刻』、『らんま1/2』は、今は無き2色刷りの原稿も収録しています。「あの時代のサンデー」の、懐かしい手触りを思い出していただけるのではないでしょうか。
森脇 “生感”にはかなりこだわりましたよね。高橋先生の手書きの文字やホワイトで修正した跡もあえてそのまま残しています。ベタ(黒く塗った部分)もコミックスでは真っ黒に整えられていますけど、この本では原画ならではの濃淡を味わえる。先生の筆致をより堪能できるんです。それぞれの時代の息吹をぜひ感じていただけたらと思います。