きょう10月13日、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」などで『うる星やつら』の放送がスタートする(一部地域を除く)。原作は言わずと知れた高橋留美子の同名コミックだ。『週刊少年サンデー』で連載された同作では毎回、どうしようもないほど女好きな高校生・諸星あたるが、宇宙からやって来た美少女・ラムをはじめ、大勢のユニークなキャラクターたちとドタバタを繰り広げ、人気を集めた。

『サンデー』連載中の1981年10月からはやはりフジテレビでアニメ版が5年にわたって放送され、こちらもヒットした。今回のアニメ化はじつに36年ぶりとなる。それも小学館創業100周年を記念し、原作から選りすぐったエピソードを4クール(1年間に相当)にわたって放送するというから力が入っている。声優陣も、あたる役の神谷浩史、ラム役の上坂すみれをはじめ豪華な顔ぶれが集まった。

アニメ『うる星やつら』(番組公式Twitterより)

デビュー作が『うる星やつら』の原型に

 高橋留美子が『うる星やつら』の最初のエピソードを発表したのは、日本女子大学在学中の1978年9月。高橋はその前年、同作の原型となる短編勝手なやつらが小学館新人コミック大賞で佳作となり、デビューしていた。このときすでに劇画原作者の小池一夫が新人養成のため開設した「劇画村塾」で頭角を現し、小池から「おまえはプロでやれる」と言われていただけあって、『勝手なやつら』は応募作のなかでもずば抜けていたという。

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 しかし、このときの大賞は該当作なし。高橋の最初の担当編集者である三宅克によれば、《一読してすぐにおもしろいと感じたんですが、絵が未完成だったから今回は見送って、次回満を持して大賞をと、勝手に決めていたんです。ところが隠し持っていた原稿を編集長に見つかってしまって(笑)、それで佳作入選という形になった》という(『クイック・ジャパン』vol.71、2007年)。三宅はまた、彼女の作品を見て、《むしろ賞を与えない方がいいんじゃないかと思いました。この子は必ず伸びると確信しましたし、賞を与えてすぐデビューさせるより、もう少し勉強してもらってから出た方がよりすごくなる気がした》と証言している(『本の窓』2000年3・4月号)。

 じつは高橋はデビュー直後、講談社の『マガジンSPECIAL』という雑誌からも声をかけられていた。それを三宅に言うと、「読切でも集中連載でも何でもいいからすぐにやれ!」ということになり(『漫画家本vo1.14 高橋留美子本』小学館、2019年)、まずは短期集中連載で様子を見ることになる。『うる星やつら』はこうして始まり、集中連載・不定期連載を繰り返しながら、1980年についに本格的な週刊連載に移行した。