また、今回の事故では、ペットの取り扱いについて、議論がなされていました。これについては、とても多くの質問をいただきました。私自身、ゆずという柴犬と一緒に暮らしていますので、他人事ではありません。
ペットについてはどうしようもなかった
ペットも家族の一員であるとはいえ、緊急時には人命が最優先となります。今回、事故に遭った飛行機では、ペットを貨物室に預ける規定になっていたそうですが、貨物室は整備士や貨物を扱う地上スタッフが開閉を行う場所であり、機内からクルーが勝手に開けることはできません。そのため、とてもかわいそうではあるのですが、これについてはどうしようもなかったというのが現実だと思います。
北米の航空会社の場合、国内線や一部の路線では、小型の犬や猫を機内に連れて入るケースはよく見られます。ただし、非常時の対応は各航空会社によって変わってきます。
私の働く航空会社では、国内線と一部路線において、小型の犬・猫であれば一緒に搭乗することが可能です。ただ、前の座席の下の荷物を入れるスペースに、ペット用のキャリーバッグが収まることが条件となります。キャリーバッグが収まらない場合には、預けていただくことになりますが、それは絶対に受け入れられないということで、ペットと一緒に飛行機を降りられる決断をするお客様もいらっしゃいます。
ペット同伴のお客様が搭乗されたら、私たちは離陸前に必ずお声を掛けて、フライト中は絶対にキャリーバッグから出さないこと、緊急時にはキャリーバッグから出して、赤ちゃんのように抱っこした状態で一緒に避難することを説明します。
また、介助犬は機内への同行が可能で、きちんとトレーニングされていることから、ケージやキャリーバッグには入れる必要はありません。介助する方の足元で待機していて、緊急時には一緒に避難することができます。
搭乗時のペットの取り扱い。ここの対応については、とても難しいところだと思います。お客様やクルーのなかには、動物アレルギーのある人もいますから、その方たちにしてみれば、機内にペットを持ち込まれることにはリスクがあります。犬や猫の毛は、どんなに掃除をしても残ってしまうことがあるため、ペットが同乗した便にはアレルギーの方がいらっしゃらなかったとしても、次にその便を使うお客様のなかにアレルギーの方がいらっしゃれば、その場にペットはいないにもかかわらず、アレルギーの発作が出てしまう可能性も十分にあります。
大切なのは、一緒に搭乗できたとしても、預けることになったとしても、気圧の変化や何時間もケージやキャリーバッグの中で動けない状態というのは、ペットにとって大きなストレスであるということを飼い主が理解することだと思います。