売り切れになった“愛用バッグ”
大谷選手の訪韓は、韓国経済にも莫大な影響をもたらした。
ソウルシリーズの6試合が開かれたソウルの高尺スカイドームには10万人の観衆が訪れ、大谷選手が宿泊したホテルはもちろん、その周辺のホテルまで観光客と海外メディアで満室になった。ソウルシリーズの独占中継権を獲得した「クーパンプレイ」の利用者数は3月初めと比べて169%も増加した。
MLB公式グッズショップでは大谷選手の背番号が入ったドジャースのユニフォームとシャツはあっという間に売り切れた。MLBグッズの韓国販売を任されている「ファッション・グループ・ヒョンジ」の関係者によると、「MLB史上海外グッズの売上が最も高かったのは今回のソウルシリーズだ」という。
売り切れの勢いは大谷選手のグッズにとどまらず、真美子夫人が持っていたものとされる5万ウォン(日本では定価5290円で販売されていた)のZARAのバッグは、韓国でも即完売となった。
こうした韓国での大谷選手の人気ぶりに、海外メディアも驚きを伝えている。「日本人が韓国でこのような反応を受けるのは珍しいこと」(米AP通信)、「韓国人にも愛される日本の野球スター」(英ガーディアン紙)と言及した。
韓国メディアは、大谷選手に対する韓国人の熱狂ぶりが、韓日関係にいい影響を与えるのではないかとも論じた。
「わずか5年前までは韓日関係は非常に険悪だった。(中略)しかし、ドジャースとの練習試合が行われたソウル・高尺スカイドームには、かつてとまるで違う雰囲気が漂っていた。
オオタニのユニフォームを掲げた韓国のファンたちは、彼が三振を食らうと残念そうに嘆いた。野球やサッカーの韓日戦では、韓国人の観客が日本選手団に向かってブーイングを浴びせる場面がよくあるが、今回は想像すらできなかった。オオタニが日本人であるということの前に、十分に評価を得ることのできる世界的な人物であることを認めざるを得ない」(文化日報 2024年3月20日)
「韓国のファンは仁川空港の入国場で、高尺ドームで、『日本人・オオタニ』を歓迎した。韓国人と日本人が互いに相手を好きだと公に表現して交流し、その話がメディアに載って社会に広がる時代となった。『オオタニ現象』が韓国社会に及ぼした影響は、両国首脳の政治的イベントよりはるかに深く大きかった。“時代の移行”を示す場面だ」(中央日報 2024年4月5日)