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奈緒 今作に参加して、いままで自分がいかに歴史の教科書や、映画・テレビなどでしか「平安時代」を知らなかったかということに気がつきました。

 とにかく嗣麻子さんの知識量がすごくて。衣装にしても、私のイメージでは「平安貴族=十二単」でしたが、衣装合わせで実際は平安時代のどの時期かによって衣装の違いもあると知ることができました。

 美術セットも随所に嗣麻子さんのこだわりがあって、徽子女王の部屋の撮影シーンでは、実際に撮影前から本物のお香を焚きしめてくださったんです。

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 平安貴族にとって香りは上質なたしなみの一つなので、お香を焚いていただいたことで、撮影前から平安貴族の生活を感じながらお芝居ができたことは、すごく幸せな経験でした。

巨大なグリーンバックでの撮影は驚きの連続

──今作ではオスカーを獲得した『ゴジラ-1.0』の制作を手がけた白組を中心に、VFXクリエイターが多く参加し、豪華で迫力あるシーンを具現化しています。VFXを多用した作品に出演されて、いかがでしたか?

奈緒 お芝居ってすごく環境に左右されるんですよ。

 普段は小物とか美術セットがあるなかで、自分と相手がいて、声の反響や気温の変化などを感じながらお芝居するんですけど、VFXのシーンでは、巨大なグリーンバックの前で、自分と相手役の人しかいない空間でお芝居をするので、驚きの連続でした。

©2024映画「陰陽師0」製作委員会

 たとえば、染谷(将太)さんが演じた(源)博雅さまとのシーンでは、目の前の博雅さまの存在だけにグッと集中して、対峙できているという感覚がすごくあって、不思議な体験でしたね。

 でも、完成した映像を見ると、何の違和感もなく「そういえばあのシーンではお花が咲いていたかな」と勘違いしてしまうほどのクオリティの高い映像体験に仕上がっている。これもすごく衝撃的でした。

──佐藤監督の演出はいかがでしたか。

奈緒 演出に関しては、嗣麻子さんが私のところに来て、ほかの人には聞こえないような音量で「ふたりだけの秘密」という感じで指示してくださいました。

 徽子女王の切なさや覚悟みたいなものは、人に見せるものではなく、徽子女王が自分で昇華しなければいけないものなんですよね。