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 そこで困ったのが、質屋にもっていった時価3000万円のロレックスだ。こちらは勝負に勝って気を良くしているし、ギラギラのド派手なロレックスになど何の興味もない。ジャンケットのK氏には、質流れにしてもらってかまわないと伝えた。買い値が3000万円なのに、私は1350万円しか受け取っていないわけだ。いくら何でも差額の1650万円がもったいなさすぎるということで、K氏からは質流れに猛反対された。質屋からロレックス10個を回収してきてくれたK氏は、その中のピンクゴールドの時計に興味を惹かれたようだ。

「このピンクゴールド、かなりきれいですね。井川さん、定価より少し安い値段にオマケして、これを売ってくれませんか?」

 もともと質流れにしようとしていた時計の代金を、いちいち徴収するのもせせこましい。バカラに勝って上機嫌だった私は、彼にピンクゴールドのロレックスをポンとプレゼントした。さらにもう1人の中国人ジャンケットにも、ご祝儀として好きな時計をプレゼントした。

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2000万円以上の時計を日本国内に持ち込んで発生した関税

 残ったロレックスの時計をどうしたかというと、仕方がないので日本にもち帰った。当然のことながら、これは税関で引っかかる。だが、意外なことにプレゼントした2本を差し引いて計2000万円以上もの時計にかかった関税は10万円程度だった。

 このロレックスは、いわば有価証券のようなものだ。いざというときには、前回と同じように質屋にもっていけば大きなキャッシュをつくれる。事実、のちに負けが込んでカネがなくなったときに、これらの時計を再びマカオにもちこんで質屋でキャッシュと交換した。

 残念ながら、このときにこしらえた種銭はバカラでスッカラカンにスッてしまった。

「ウィン・マカオ」で仕入れた有価証券としてのロレックスは、マカオと日本を行ったり来たりしながら最終的に質屋へと還流していった。