災害対策や防衛費の強化、経済・農業政策など、私たちの暮らしに大きく関わる課題について、政府が中心となって日々対応している。しかし、その対応方法について、違和感を抱いている人も少なくないのでは?
ここでは、その違和感の裏側を徹底的に取材した国際ジャーナリスト・堤未果氏の著書『国民の違和感は9割正しい』(PHP新書)より一部を抜粋。政府の災害対策の裏側について紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
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能登半島地震初日に鳴り響いたアラーム
2024年1月1日午後4時10分過ぎ。
京都の自宅でグラグラとした横揺れを感じ、びっくりしてテレビをつけると、NHKの女性アナウンサーの、切羽詰まった声が部屋中に響きました。
「大津波警報が出ました!! 今すぐ高いところに逃げること!」
「テレビを見ていないで逃げて下さい!」
石川県能登地方を、最大震度7の地震が襲ったのです。
海に囲まれた能登半島へ入るには南からのルートしかなく、道路は寸断され、津波と海底隆起の影響で海から近づくのも難しい、ヘリで空輸するしかない状況でした。自衛隊も6000人強が市内に駐屯していた2016年の熊本地震と違い、金沢市にいる隊員は1200人で、とにかく人員が足りません。
あたりはどんどん暗くなり、このままでは家が潰れて下敷きになった人の捜索もできなくなってしまいます。この日の珠洲市の最低気温はマイナス1度、被災地は広範囲で停電も起き、暖房が消えてしまっているのも不安を呼びました。
多くの人が感じた“違和感”
「東日本大震災を思い出して下さい!」
あの時アナウンサーが叫んだこの一言は、多くの国民に響いたでしょう。
そして同時に、これが今の日本に生きる私たちにとっての、過去から鳴らされた警鐘であることに、時間が経つにつれ、多くの国民が気づき始めることになるのです。