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自律神経に不調を来していた友人は、BTSにハマってから症状が安定しているという

「ごめん私、よく知らないのよ。七人組だってことも最近知った」

「そんなものよ。私も娘に言われて半信半疑で動画を見たのがきっかけだけど、ハマってさ。今、一番安定してるのよ」

 彼女は数年前に高熱が続いて精密検査や医者巡りを繰り返し、結果的には自律神経の不調や精神疾患と診断されて、仕事のペースダウンが定着していた。

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「ばらつきがあるんだよね。昨日まで元気だったのにいきなりベッドから起きられなくなったり、言葉がつっかえて出なくなったり。人や物の名前も恐ろしいほど忘れるし、一種の認知症よね。それが病気のせいか、薬の作用なのかはわからない」

 薬の効果は、服用してみないとわからない。良くなったところと悪く出た症状とを報告し、長い時間かけてその人に合った種類と量を見定めていくそうだ。

「かと思うと、気づけばユニクロで同じTシャツを十枚買ったり、夜中三時にひたすら床を磨いたりしてるの。突然部屋にペンキを塗りたくって、娘との二段ベッドは今すごくファンシーな色よ。躁状態になると、やりたかったことを無我夢中でしちゃうらしい。でも医者にはあなたは地味で堅実だって言われるのよ。預金を空にして株を買っちゃう人もいるって」

 

 よく笑い、闊達でドライな性格だが、病は人をえり好みしないのだろう。奇異な行動や不調は仕事場で出ることもあり、周りに理解を得るまで苦労したはずだ。

「だんだんわかってくるの。『ああ来るな』って。さっきまで普通に仕事してた相手に電話して、『ごめんなさい、私たぶん明日爆発するから、休ませて』って」

 それがBTSですっかり安定してるのだという。フェニルエチルアミンなのかオキシトシンなのか、脳内に分泌される自前の愛情物質、幸福物質が、処方薬以上の効果を発揮してるのか?

「恋をしてる感覚?」