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「出生率が高いところもあるけど、総じてどこも下がっていて、我が国の傾向なわけですよ。そうすると国の政策とか、日本社会全体の問題を解決しないといけないのに、自治体ごとに取り組まないといけない課題であるかのように、誤った世論誘導をしているところが問題」

「大きな会社の社長さんとか会長さんとかが(人口戦略会議に)お集まりであれば、日頃パーティーで会ってる時に茶飲み話みたいなことをするのではなくて、政府や国政に携わる方々に対して、きちんと問題提起をされた方がいいんじゃないかと、私は思います」

丸山達也島根県知事 ©時事通信

 会見では舌鋒鋭く指摘が続いた。

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 今回、消滅可能性自治体とされた島根県内の自治体は4。10年前の発表からだと12も減った。そのことは人口戦略会議が発表したレポートでも特筆された。

 それでも4自治体が「抜け出せない」ことについて記者が質問しようとすると、さえぎって熱弁が始まる。

「だから私が言っているように、市町村単位に置き換えること自体がナンセンスだと思いますよ。市町村の努力が足りないからと押しつけていますけど、じゃあ東京都がすごい頑張っているから人口増えているの? そんなことないでしょう。合計特殊出生率(1人の女性がおおむね生涯で出産する子の数)は都道府県で最低だよ(1.04)。よそから人を吸引できる恵まれたポジションに社会構造上あるから、そうなっている」

 丸山知事の指摘は止まらない。

「自治体に転嫁していくレベルの問題ではない」

「分かりやすいのは東京一極集中だけど、私からすると三大都市圏とそれ以外の地域との格差構造を是正しなければ、こんなの(人口減少)どんどん進むに決まっていますよ。一生懸命に出生率を上げて子育て環境を整備したとしても、大学・専門学校への進学、就職という段階で、子供さん達が地方に残れない構造です。

 それは市町村単位でも、県単位の問題でもなくて、どちらかというと三大都市圏とか、東京に人が集中していくという構造を放置している日本全体の政策、これは経済界も含めてですよ、日本社会のありようが引き起こしている現象だと捉えるべきでしょう。消滅可能性自治体がどうだこうだというふうに自治体に転嫁していくレベルの問題じゃないということであります」

 都市部への人口集中は、企業の集中が原因の一つだと見られており、矛先は経済人へも向かう。