「なぜ東京にでかい本社を構えないといけないのか。アメリカのように(分散立地)できないのか。それは分かりませんよ。銀座で酒を飲むのが楽しみだから、銀座から離れたくないとか。(大阪の)キタの方がいいからとか。ススキノじゃだめだからとか。博多じゃだめだとか。そんなことなのかどうか分かりませんけども、少なくとも、大きな経済主体が最適だと思っている選択の積み重ねが、日本社会としては最悪の事態を招いている。
なぜならば、国の成り立ちは領土と主権と国民の三つ。そのうちの国民がいなくなってしまうかもしれないという意味での、日本という社会のサスティナビリティ、持続可能性が問われているのが人口減少問題の本質です。日本という国がなくなってしまうかもしれませんよという話なわけでしょう。その問題に対して、市町村に○×をつけて物事を見るというのは、正しい見方じゃないと申し上げている。市町村長だけじゃ何ともしようがない話で、島根県知事でも何ともしようがない。東京都知事だけが頑張っても、東京都の出生率は上がらないでしょう。もうちょっと大仕切りで直さなきゃいけないと私は思います」
島根県の出生率は47都道府県の中で4番目。その理由は…
島根県の合計特殊出生率は2022年の最新データで1.57。47都道府県では高い方から4番目だった。
なぜなのか。丸山知事は「私見」と断ったうえで、三世代の同居や近居が多いことがプラスに働いているとの見方を披露した。
だが、安心してはいられない。
「子育てがしやすい、近親者の助けを得やすい、というのが大都市との違いだと思われてきましたけど、実際には高齢者雇用が進んでいますので、おじいちゃん、おばあちゃんが年金受給世代になったからといって、家にいてくれるわけじゃない。保育や学童保育を充実していかないと、アドバンテージ(有利であること)がどんどん薄まるのは明らかなので、市町村と一緒に公的サービスの充実に取り組んできました」と語る。
それでも人口が減っている現状に変わりはない。
「社会が維持できるか分かりません。バスが減便になる。学校がどんどん統合されていく。部活動の種類が制限されていく。いろんな弊害がでているので、消滅可能性自治体に指摘されたところと、されていないところを分けて考えても、本質的な議論ではありません。(人口戦略会議の)経済人の皆さんも、10年前の試算の時とあまり前頭葉の思考構造が変わっておらず、相変わらずですなという感じなので、そこを変えなきゃいけない」などと、独自の論理で危機を訴えた。