高校生カップルは50年経った今も行方不明…1973年に起きた、「サマージャム」参加高校生カップル失踪事件。ときおり新証言が出てくるものの、未だ真相解明には至らない、同事件に「残されたナゾ」とは? 鉄人社による新刊『読んで震えろ!世界の未解決ミステリー』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

写真は史上最大のロックフェス「サマージャム」。フェスに参加するはずだった高校生カップルはどこへ消えたのか? ©getty

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高校生カップルはどこへ消えた?

 1973年7月28日、米ニューヨーク州スカイラー郡のワトキンズ・グレンで「サマージャム」というロックコンサートが開催された。出演したのは、当時絶大な人気を誇っていたオールマン・ブラザーズ・バンド、グレイトフル・デッド、ザ・バンドの3組のみ。ここに、1969年開催の「ウッドストック・フェスティバル」より20万人も多い約60万人の観客が訪れ、当時のギネスブックは「世界一観客数が多かったポップフェスティヴァル」として認定する。

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 同州ブルックリンの男子高校生ミッチェル・ウィーザー(当時16歳)と、同じ高校に通うガールフレンドのボニー・ビクウィット(同15歳)もこのコンサートを楽しみにしていた2人だった。が、彼らは会場へ向かう途中で行方不明となり、その消息は50年以上が経過した現在もわかっていない。

 ミッチェルがブルックリンの自宅を出発し、ボニーがアルバイトとして働いていた同州グリーン郡のキャッツキル山地のウェルメット・キャンプ場に到着したのはコンサート前日の7月27日。合流した2人は翌日28日朝、約200マイル(約340キロ)離れたコンサート会場に向かう。移動手段はヒッチハイク。場所はわかっていないが、途中で1台のトラックが2人を乗せ、しばらく走った後で降ろした。これが彼らが目撃された最後の姿である。

 コンサート終了から1日半が経過した7月30日、キャンプ場の管理人から、ボニーの母親に彼女が戻って来ないとの連絡が入った。母親はミッチェルの家族にも事情を話し、警察に捜索を依頼するも、当局は駆け落ちでもしたのではないかと全く相手にしてくれない。そこで、両家族は親戚や知り合いに協力を仰ぎ懸命に2人を探すが、行方はまったくわからなかった。

 何の進展もないまま失踪から27年が経過した2000年6月、ニューヨークに本社を置くケーブルTV局MSNBCが番組で事件を取り上げたところ、ロードアイランド州に住む当時51歳の男性から驚きの連絡が入る。なんでも、彼もコンサートに参加した1人で、会場に向かう路上でミッチェルとボニーによく似た若い男女に遭遇、3人でペンシルベニア州のナンバープレートをつけたオレンジ色のフォルクスワーゲンに乗せてもらったという。

 その途中、ニューヨーク州を流れるサスケハナ川で休憩を取ったのだが、女性が川に入って溺れ、それを助けようとした男性も水に飲み込まれ行方がわからなくなったそうだ。男性は泳げなかったことに加え、その日マリファナを吸っていたため警察に連絡するのをためらったと告白した。