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 失踪から1ヶ月が経過した10月上旬、アイリッシュ海中央のマン島のホテルから、イヴと子供2人が宿泊しているとの通報が入る。すぐさま警察が現場に駆けつけたものの、親子はすでに宿を後にしていた。

海で見つかった「頭蓋骨」の正体は…

 年が変わった2000年6月6日、貝殻採取業者の船がエルキ沖のサンブリュー湾の底に沿って網を投げたところ、頭蓋骨のような物が引っかかった。驚いた漁師はすぐさま通報。警察がDNA鑑定に回したところ、なんとその頭蓋骨はイヴの娘のカミーユのものと判明する。警察は付近に他の家族の骨もあるとみて海底を徹底的に捜索したが、何も見つからなかった。

 その後もイヴやマリエ=フランスの免許証やクレジットカードなどが発見されたものの、本人たちが見つかることはなく年月だけが流れる。

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 失踪発覚から7年が経過した2006年9月13日、ロスコフの北70キロにあるハードズ・ディープの海底で、人間の大腿骨と脛骨が発見された。DNA鑑定は、それがイヴの骨であると特定したが、カミーユの頭蓋骨発見時と同じく死因などはわからなかった。

 これ以降、大きな進展はなく、2012年9月に本事件に関する捜査は終了。警察の発表によれば、海で起こった事故の可能性が高く、殺人とは考えにくいという。結局、マリエ=フランスとマリウスの行方はわからず仕舞いで、2015年12月に2人の死亡証明書が裁判所から発行される。

死亡証明書が発行されたマリウス・ゴダール(当時4歳) ©getty

 さらに、2018年2月には、フランスのコート=ダルモールのビーチで頭蓋骨が見つかり、マリウスのものではないかとの憶測を呼んだが、本人特定までには至っていない。

 また、マリエ=フランスに関しても、状況証拠はイヴによる殺害を指し示しているものの、物的な証拠がないとして警察は殺人事件とは断定していない。果たしてゴダール一家に何が起きたのか。真相が明らかになる可能性は極めて低い。