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保護猫だったヒックが幸せになっていく

「本を出す前から、ヒックはすでにインスタグラムで10万人ほどのフォロワーがいた“スター猫”でした。写真のヒックはとても愛らしくて、お茶目で、写真と一緒に添えられたコメントがまた秀逸で。保護猫ということも知って、何らかの形で本にしたいと思ってすぐに著者と連絡をとり済州島に飛びました。

 著者と話をしながら、保護猫だったヒックが幸せになっていく過程と、そのヒックと関わることで癒やされながら著者が少しずつ変わっていく、成長していく、そんな暮らしぶりが心に沁みて、ヒックと著者との出会いから今までの暮らしぶりを綴る形にしました。

 読者からのコメントを見ると、『最初から泣いた』というものがとても多いんですね。序章には、『平凡な人間と平凡ではない猫が出会って一緒に暮す話』とありますが、希望を探していた人間が家のなかった猫と出会ったことで、温かい家庭を築いて、平凡だけれど幸せな日々を送っている、ささやかだけれどそんなほっこりする姿が読者の心をとらえているのだと思います」(コ代表)

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情けない顔のヒック。一度は里親に出そうとするが、送りたくないと思う著者の葛藤を知ってか知らずかヒックはこんな表情に ©yaongbooks

不幸せな猫を増やさないように

 猫でも犬でも人気があがるのはいいが、一方で捨てられたりする保護犬、保護猫の問題は深刻だ。韓国でも捨て猫が増えている。ここ数年では、TNR活動(日本では地域猫活動)も広がりつつあり、自治体に専門の部署もできている。TNRとは、T=トラップ、捕獲する、N=ニュートラル、不妊・去勢手術を施す、R=リターン、本来の場所に戻すという意味だ。コ代表が言う。

「1年に一度は猫のことを考えてほしいなあと思い、2009年に日本のように猫の日を作ってしまいました(笑)。数字のように長く久しく生きて欲しいという意味を込めて9月9日(9つの命を久しく)を猫の日としてイベントも続けています。

 野良猫だったヒックが幸せに暮しているように、ただ、かわいそうだからとご飯をあげるのではなく、不幸せな猫を増やさないよう繁殖させない不妊・去勢手術を施したりすることが大事だという認識を一般の人々と共感できるようにしていければと思っています」

 

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 写真の中のヒックは、とても楽しい。愛嬌たっぷりで、自由で、時々とぼけていて。

 猫と暮したことがないので、猫は漠然と自立心が高くて、孤独を愛する、そんなイメージだったが、ヒックを見てすっかり裏切られた。

 猫もそれぞれ十猫十色。

 ヒックはかなりの甘ったれ屋なんだそうだ。