真っ白でもふもふした毛並み、すこーし太めのボディ、揺らすとぶんぶんという音が聞こえるようなりっぱなしっぽ。
韓国で今、いちばん有名な猫「ヒック」の話だ。
インスタグラムで12万人のフォロワーを持つ人気スター。野良出身で、推定、3人の獣医から3歳、5歳、7歳といわれたが、共に暮らし始めた年から数えて4年目。名前は、「色白美人(美男)」からつけられた。
韓国で静かなロングセラーに
韓国で今、静かなロングセラーになっているのが、このヒックと著者の暮らしぶりが書かれたエッセイ集『ヒックの家』だ。
昨年10月に出版されると、初刷りの3000部は4日で売り切れた。ネット販売を主流とした本では異例の大ヒットだった。
版元の「ヤオンソガ」のコ・ギョンウォン代表が言う。
「うちのような一人で切り盛りする出版社ですと、初刷りはせいぜい1000部くらい。『ヒックの家』は出版を記念したイベントも開催していこうと企画していたので多めに刷ったんですが、まさかこんなにあっという間に売れるとは思ってもいなくて、慌てました(苦笑)。急いで、次の2刷りも3000部印刷したら、今度は2日間で売れてしまいまして、その後は、増刷を5回重ねて、1万5000冊ほどが売れています」
猫人気が目立つようになってきた
韓国ではここ10年くらいの間にペットブームの波がゆっくりと来ていて、最近ではペットを飼うのではなく、「伴侶犬」「伴侶猫」と呼ばれて、「共に暮す家族」という概念に変わった。かつては犬の人気が猫のそれを圧倒していたが、昨年頃から猫人気が目立つようになった。
わが家の柴犬が通う近所の動物病院の獣医に聞くと、
「昨年初めくらいから、猫を連れてくる飼い主さんがぐんと増えた。感覚だと、犬7:猫3だったのが、今は犬4:猫6くらい。飼い主さんは20代~30代の女性がほとんどかな」
と言う。時折立ち寄る書店でも昨年あたりからは猫本が目を引くようになり、大型書店の調べでは、昨年の猫関連本の部数は、前年比で17倍にも増えたという。