「てめえら落としやがって! 舐めてんじゃねえぞ!」
「ようやくその頃になって、ラジオのニュースで南相木村(長野県)の公民館に対策本部が設置されたという情報が入ってきたので、じゃあ、そこへ行こうと。着いたら、暗がりのなか、村役場の人や日航の関係者、報道関係者などが200人くらい集まっていました。大手新聞の記者が日航の関係者に向かって、『てめえら落としやがって! 舐めてんじゃねえぞ!』と怒鳴りつけていたのが印象に残っています」
橋本氏が対策本部に到着した時点でも、墜落地点については情報が錯綜し、正確な位置がはっきりしていなかったという。
「朝の5時半ごろだったと思いますが、自衛隊員からぶどう峠の先らしいと聞いて、とりあえずクルマで行けるところまで行ってみようと、運転手さんにお願いして走りはじめました。ところが、そのぶどう峠の道は、未舗装の砂利道で、幅もクルマ1台分くらいしかない。ガタガタの曲がりくねった道を走っていたら、とうとうハイヤーのタイヤがパンクしてしまったんです。運転手さんが『この辺で勘弁してください』と言うので、そこで別れ、リュックを担いで歩きはじめました。しばらく歩いたら、農作業に行く軽四輪が通りかかったので乗せてもらった。道の脇の斜面の上の方から自衛隊員の声が聞こえる場所があったので、そこで降ろしてもらって山に入りました」
まだ現場は見えなかった。