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全国で、こども食堂を立ち上げた動機はさまざま

――会見に出席した安心・安全向上委員会のメンバーも東京、鹿児島、北海道、滋賀、福岡で活動中です。職業も主婦や介護士、大学教員とバラエティに富んでますね。

湯浅 食堂を立ち上げた動機を訊くとこれまた多様なんですよ。ちょっと委員会の皆さんの声を紹介しますね。

記者会見を行った「こども食堂安心・安全向上委員会」のみなさん

「共稼ぎ世帯に対して学童保育などの制度がありますけど、制度だけじゃ子育ての悩みは共有できないんです。働きながら育児に向き合うと親は孤独になりがちです。子どもって親だけが育てるのではなく、地域の力で育つもの。現在は育休中ですが、私が小学校教諭として働くなかで、家庭環境によって親と過ごす時間が制限されている状況や、身なりを整え十分な食事をとって学校に行くことができない子どもたちの様子を観てきました。私自身も子を持つ親になって、地域の支えが必要だとより強く実感しましたね」(鹿児島県/「森の玉里こども食堂」 園田愛美さん)

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園田愛美さん

「私は訪問介護の仕事や民生委員、自治会長をしていますが、テレビで『要町あさやけ子ども食堂』の山田和夫さんの活動を見た。これはいいな、やらなくちゃと思いましてね。場所や食事などどうするか考え続けて、始めるまでに一年かかりましたが」(滋賀県/「ひがしっこ子ども食堂」小西由美子さん)

小西由美子さん(中央)

「私自身ひとり親で育ちました。あまり対人関係を築くのが得意な性格ではなかったのですが、義父が家の門前で倒れた際に隣近所の方が応急措置から葬儀まで手厚く世話をしてくれたんです。地域の人たちとつながることの大切さに気づきました。同時期に発達障害のお子さんを持つお母さんや、仕事が忙しくても子どもを預けられない親御さんの悩みを聞いていたこともあり、それなら地域で一緒に子育てできるのではと思い立って」(北海道/「おてらde食堂」近藤亜弥さん)

近藤亜弥さん

月に1度、離れて暮らす親子がこども食堂で会う

湯浅 この他に全国を回ると、病院スタッフみんなで始めたとか、定年退職した男性が仲間とスタートしたりと色んなキッカケを耳にします。皆さんに共通しているのは強制ではなく、やりたいから始めたという一点ですね。食堂で提供する食事はめいめい持ち寄り。食材を地元の農家の方が提供してくれたりもします。参加費はワンコインだったり無料であったり、それもいろいろ。ご飯とお味噌汁に梅干し、ふりかけって場合もある(笑)。大事なのはみんなでワイワイやること。僕が聞いてビックリした参加例として、離婚して離れて暮らす親子が月に1度会う場所が食堂だったり。