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こども食堂を公民館でひらくことを決めた自治体も

――記者会見で国や自治体の枠組みには入らないで進めたい旨を仰ってましたが。

湯浅 現在、本格的な公的支援を受けるとしたら、対象は年収300万円未満の子じゃないといけないとか、開催場所にはこういう設備がないといけないとか、細々した条件がついてしまいます。なので、国や自治体には支援のあり方を考えてほしいし、私たちは多様なこども食堂が多様なまま応援されるように、地域の理解を広げていきたい。でもね、自治体をあげて子ども会をリニューアルさせた例もあるので紹介します。

「福岡県大野城市の留守家庭児童保育所(学童)には、共働き世帯の増加に伴って、入所児童が約1000人います。長期休暇中は1400人を超えて受け入れをしている状況です。私たち『NPO法人チャイルドケアセンター』は、こども食堂を地域の拠点と捉えて、市内に27ある行政区の公民館でこども食堂を実施しようと、行政・区長会と協働しています。また『こども食堂ネットワーク』を構築して、立ち上げ支援だけでなく食材支援も担っています」(福岡県/「NPO法人チャイルドケアセンター」大谷清美さん)

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大谷清美さん

今、こども食堂に必要なのは「衛生設備」と「保険」

――今回、クラウドファンディング募集の告知も発表されましたね。

湯浅 子どもが来て、食事をするとなると事故の心配が必ずあります。全国に食堂の取り組みが知られてくると、食中毒や遊んでいる時の怪我など大きく報じられる可能性も出てくる。そうなったら、せっかく伸びた活動が退潮しかねません。この試みは継続が大事。継続には場所・資金・食材・ボランティアという資源が必要。安全と安心が周知されず、周囲が不安に見ていると、資源も枯渇してしまう。

 そこでいま必要なのが、食を扱う上で大切な衛生設備と保険なんです。ケアを万全にし、安心して貰うために「全国のこども食堂を安心・安全な場所に!」というタイトルでインターネット上の寄付集めであるクラウドファンディングを始めました。「こども食堂 安心安全」で検索していただくと出てきます。全国200か所のこども食堂の3年分の保険料を集めるため、6月21日までに1000万円を目標に集めています。目標額に到達できなくても集まった額は食堂に届けられます。3年の間に安心・安全をアピールして協力者を増やし、4年目からは食堂が自力で継続できる力を養うという発想です。

――コースは3000円から100万円まであります。特典はお食事券もあるんですね。

湯浅 ぜひ篤志家、企業に大口をお願いしたい(笑)! 食堂に力を入れている企業の注目株は吉本興業さんです。芸人さんの参加も目立ちますし、何より沖縄の専門学校にこども食堂を常設するそうですから。

――沖縄ラフ&ピース専門学校ですね。校長の竹田和夫さんは「いまキッチンを開放できるよう準備中です。上から目線の施しじゃなくて、クリエイターを目指すオモロイ兄ちゃん、姉ちゃんと一緒にご飯食べに寄ってもらえればと思います」と取材に答えてくれました。

湯浅 その他、コックさんたちが「5月9日はコックさんのこども食堂の日」と銘打って全国各地でこども食堂を実施するような試みも準備されているようですね。実際、参加してくれる方にとって、こんなに心理的ハードルが低い社会活動ってないんじゃないかな。イデオロギー的背景もないし、純粋に子どもの喜ぶ姿に触れられる。まず、興味を持ってもらい、見て、来て、知って、ぜひ参加して欲しいと願っています!

 

写真=末永裕樹/文藝春秋