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湯浅誠「こども食堂は多種多様。離婚ではなれて暮らす親子が、月に1度会う場所にも」

全国2286拠点まで広がったこども食堂のいま

2018/04/27
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ママ友やPTAの枠組みの外で、親たちが知り合える

湯浅 食堂ってママ友やPTA以外で親たちが知り合い、近所の大人と子どもがシャッフルして付き合うスペースなんです。3世帯同居の家庭が減って、子どもは老人への接し方がわからない。老人は家や地域での活躍の場や刺激を失ってる。まあ、僕らがそういう地域のしがらみを嫌い、どんどん削っていった果てでもあるんですが……。なので、こども食堂は我々が失った世代間の付き合い方を学ぶ場所でもあるんです。生の声として、森の玉里こども食堂の園田さんと、ひがしっこ子ども食堂の小西さんのこんなエピソードがあります。

 

「私は3人の子と一緒に食堂をやってるんです。食堂を始めた当初、長女は足にすがりついて『よそに行かないで』って泣いてました。地域と関われずにいた私がそれまで一歩も家から出ないで育てたので、知らない人がいるのが不安だったんでしょうね。ところが今では始まると私の眼の届かないとこまで遊びに行っちゃう。『あそこで誰々がみてるから大丈夫よ』って毎回(笑)」(園田さん)

「高齢者では下は70歳から上は88歳が参加しています。私も含めて子どもたちに元気をもらってる。いつも1人で欠かさず参加する子どもさんがいて、ある日『ねえねえ、おばちゃん。僕に何かできることない?』って声かけてくれたんですよ。胸いっぱいになって、スタッフ全員で『ありがとう』としか言えませんでした。嬉しかったなあ」(小西さん)

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「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」代表の栗林知絵子さん

――なるほど、ボランティア精神が芽生えるわけですね?

湯浅 参加することで担い手になっていく。お年寄りもご飯食べに来たのに、次第に食堂に関わる。誰が支えて、支えられてるかわからない空間になる。そこが素敵ですよね。