子どもは耳にフタをし、無表情になっていきます。これはひどいことを言われても何も聞こえないようにすることで、自分自身を守ろうとする自己防衛本能のあらわれです。厳格な管理や理不尽な罰は子どもの恐怖心を煽り、自分の本心や意見をひた隠しにするようになります。
子どもを勉強嫌いにする「5つのNG行動」
塾生限定の匿名相談には、「毎日怒鳴られて母の顔を見るのが怖い」「ひどい言葉を強い口調で繰り返し言われ、精神的に参っている」「大切にしていたものを勉強に支障が出るからと勝手に捨てられた」など親からの心理的虐待に苦しむ声が寄せられることもあります。
その中から、子どもの勉強嫌いを助長する、親の「5つのNG行動」と具体的な声がけ例をご紹介します(図表1)。
いきすぎた「しつけ」や「教育」をしていないか
以上のように子どもを追い詰める声がけを執拗に繰り返すことは、子どもの勉強嫌いを助長するだけでなく、「教育虐待」にあたるケースもあります。教育虐待の定義を調べると、以下のような著書や報道がありました。
昨年(2011年)12月に茨城県つくば市で開かれた「日本子ども虐待防止学会」で、武田信子教授らは「子どもの受忍限度を超えて勉強させるのは『教育虐待』になる」と発表、初めて公の場で「教育虐待」の言葉を使った。「教育」の名のもとで親の言いなりにさせられるケースはもちろん、親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する状態も「教育虐待」に含まれるとした。
(「教育虐待:勉強できる子になってほしい……過剰な期待」毎日新聞、2012年8月23日)
家庭という密室で繰り返される教育虐待は、子どもたちから「生きる力」を奪います。日常的にいきすぎた「しつけ」や「教育」をしていないか、自問自答する姿勢が必要です。
過干渉な親に振り回されないために
高校生なのにノートチェックまでしようとする過干渉な親御さんは、教育虐待の可能性を秘めています。しかし教育虐待傾向のある親御さんには「あなたのため」という大義名分があり、全く悪気がないため、心ない声がけや態度を変えることは容易ではありません。それなら子どもたちは、理不尽な親の言動をやり過ごせる、心のあり方を習得したほうが勉強に身が入ります。