1ページ目から読む
2/4ページ目

・医学部に行きたいのなら難関中高一貫校に進むべき
・難関中学を受験するなら、必ずこの塾に行かないとダメ
・医学部に行く人は無遅刻無欠席の人格者であるべき

これらの言説には、科学的根拠は何一つとしてありません。不確かな「べき論」が世の中にはびこり、それが正しいと多くの人が信じて疑わないのが現状です。さらに教育熱心な親御さんの多くは「もっとも優秀な人の事例」を真似したがります。

子ども3人を東大に合格させた人の体験談や、大学を首席で卒業した弁護士の勉強法といったトップオブトップの勉強法は、一部の優秀な子にはフィットするかもしれません。しかし、全ての子どもに合うわけではありません。

ADVERTISEMENT

「成功者の事例を真似れば成功するだろう」という思考回路は、大リーグで活躍する大谷翔平さんの練習法を、野球初心者の小学生に強要するような短絡的な考え方です。スポーツに例えれば一目瞭然なのに、勉強に限ってはそう思わないのは、不思議な現象です。

「嘘をつく子ども」を育てる管理至上主義の弊害

教育熱心な家庭にありがちなのが「ノートはどこまで管理してくれるんですか」というような「管理したがる」姿勢です。当校では子どものノートを管理することはありません。子どもは管理しようとすると、嘘をつくようになるからです。

親がノートを管理する場合、学習の手段としてノートを取るのではなく、親が納得するノート作りが目的になってしまいます。やがて塾に行くふりをしてサボったり、机に向かいながら別のことを考えたりするようになります。そうなると成績も下降の一途をたどることは、火を見るよりも明らかです。

管理することを前提にノートをとらせても、元々本人に勉強する意志がないのですから、意味がありません。これはノートの件だけにとどまらず「子を管理しようとする」行為自体が、子どもの勉強する意志を削ぐ原因になります。

模試の成績を管理して、偏差値が何ポイントUPしたのかDOWNしたのかを管理する、帰宅時間、勉強時間、就寝時間を管理する、付き合う友達を管理する……管理、管理でがんじがらめにされると、子どもは何を言っても言うことを聞かなくなります。なぜなら今以上に自由が奪われるお小言を聞きたい人はないからです。