『もう明日が待っている』はSMAPを鈴木おさむさんの視点で追っており、グループに起きた数々の出来事の裏側がドキュメンタリーのように綴られています。
SMAPには、メンバー同士は互いをプロフェッショナルとして尊敬し合う一方、ビジネスライクな関係性のグループというイメージがありました。
しかし本書を読むと、そのイメージが変わっていきます。
「みんなでお祝いのご飯行こうぜ」と言い出したのは…
たとえば前述の「タクヤ」の結婚会見後、もう帰宅しているかと思われていた「リーダー」、「ゴロウチャン」、「ツヨシ」、「シンゴ」の4人が彼の会見が終わるのを待っていて、タクヤが楽屋に戻ると笑顔で声を揃えて「結婚おめでとう!」と祝福。そしてメンバー全員と鈴木さんでテーブルを囲んだ焼肉は、リーダーの「みんなでお祝いのご飯行こうぜ」という提案がきっかけで実現したことも記されていました。
わちゃわちゃするような仲のよさではないし、友情とも違うのかもしれませんが、5人には確かに強い絆があったことが伝わってくるエピソードの数々。
必要以上には馴れ合わず、ドライな関係性と思われていたメンバー間のほっこりするような裏話に、じーんと感動するファンも多いはず。
それゆえに、なのです。
「公開処刑」「葬式」緊急生放送の“裏側”
それゆえに、この物語を楽しく読むことはできないのです。
なぜなら、この本を手に取った全員がどんな“結末”を迎えることになるか、知っているから。
「公開処刑」「葬式」と称されることもある『SMAP×SMAP』2016年1月18日の放送回。黒いスーツを着たメンバー5人が黒いカーテンの前で、視聴者に向けて謎の謝罪をするというわずか3分ほどの緊急生放送。
また、その年末に解散するまで緊張感が走る場面も少なくなかった『SMAP×SMAP』の放送や、12月31日に木村さん抜きで行われたと多数の報道が出ていた解散打ち上げ会。その会には、1996年にSMAPを脱退していた元メンバーの森且行さんも駆け付けていたものの、木村さんは不参加だったと報じられ、くしくも焼肉店だったというのは数奇な話です。