長期連載の打ち切り、「もやもや病」……。ショックが続いた
市橋 休刊や打ち切りは何度経験してもショックですが、売れてなんぼの世界ですから仕方ないことです。掲載の約束、連載の約束が反故にされるケースも少なくなかったですが、一番驚いたのはとある芸人さんと組んで、合作で連載することになった漫画が、プレ連載として始まった初回以降、他の方が描いていたことですね。
初回掲載以降に全然話が進まなくなって不思議に思っていると、気づいたら他の漫画家さんの作画で連載が始まっていて……。結局その連載はすぐに終わってましたが、私なんぞが売れっ子芸人さんと組んで連載できるはずがないと思っていたので、変な夢を見ているような気分でしたね。8年続けてきた『ぼっち村』『ぼっちぼち村』の打ち切りもなかなかに衝撃的でした。
――打ち切りの少し前に市橋さんは指定難病の「もやもや病」(ウィリス動脈輪閉塞症の通称。脳血管に生じる原因不明の難病)を患い、手術もされました。このWパンチは相当こたえたのではないですか。
市橋 直前にも編集部に「体力の続く限り、連載を続けてほしい」とか言われていました。2022年に競売物件で落札した地方都市にある一軒家に移住したのですが、漫画のネタにもなるかなと思って入札したので……。打ち切りは大変ショックでした。乗り越えられているかと言うと、今もウジウジしているので乗り越えられてない気がします。
もやもや病については、徳永英明さんがかかったということ以外、なにも知りませんでした。ただ、気付かずにいると脳梗塞や脳出血を起こす可能性が高まり、死に至るケースも高い大変恐ろしい病気だと知りました。私は別の体調不良の検査中に、たまたま早期発見でき、予防的なオペを受けられてラッキーでした。
病気を越えられたのは、やはり妻と子どもの存在です。なんとか妻子に恩返しをしたいと思っていた矢先に連載が終わってしまったので、見捨てられないように、今こそ踏ん張らなきゃなとは思っています。激しい運動はできませんが、日常生活や作画作業は問題なくできますからね。
なんとか生きていることを励みにしてもらいたい
――市橋さんの激動の田舎暮らしの様子が漫画からはよく伝わってきます。最後に、この本で読者にどんなことを感じてもらえたら嬉しいですか。
市橋 偉そうなことを言える立場ではないですが、こんなダメ人間で、生きる才能のない人間もいるんだと苦笑してもらえれば嬉しいです。そして何かの縁があって、こんな私の記事を目にしてくださった方の中に、厳しい生活を強いられている人や田舎暮らしに不安を覚えている人がいたら、こんなヤツでもなんとか生きているのだと励みにしていただければ、よりありがたいです。
そんな皆様に、またどこかでお目にかかれるよう、私もぼっちぼち頑張っていきます!