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対話力を活かして育休を取得した経緯

――基礎的な対話力を身につけていたから、組織が変わっても応用できたのですね。

ハセン 対話力は、仕事にも、プライベートにも活かせるんですよ。たとえば僕はTBS時代に育休を取ったのですが、そのとき役に立ったのも対話力でした。

 短期的に対話するのではなく、常日頃から上司とコミュニケーションをとって、信頼関係を積み重ねていた。そのうえで、「育休を取得してもいいですか?」ではなく、「取得します。そのためにこんな準備をします」と提案することで、スムーズに育休期間に入ることができたように思います。

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 家族との関係も、対話によって変化しました。以前は、育児のことで妻と喧嘩することが多かったんです。でも、コミュニケーション不足によって喧嘩が起きていることに気づいて。それからは、考えていることや悩んでいることを素直に話し合うようにしています。そうすることで、育休や転職の理解もスムーズに得られました。

 

――日々の対話を通して、周囲との関係を築くことが大事なのですね。ただ、ハセンさんのような「話す仕事」以外の方は、対話の実践が難しいのでは。

ハセン 難しく考える必要はありません。すれ違ったら挨拶する、話すときは笑顔でいる。その繰り返しによって信頼関係を構築でき、必要なときに物事を進めやすくなります。ちょっとしたことで、人生はポジティブな方向に進んでいくんですよ。

昔は「安住さんみたいに殿堂入りしたい」と思っていたが…

――ご自身の生き方は、対話を通してポジティブに変化しましたか?

ハセン これまでは、「対話力はどんな場面にも活かせる」と言いつつ、結局仕事のために磨いていたんですよ。でも今は、良い意味でオンオフの境目が薄くなってきたなと思っていて。

 仕事でもプライベートでも、人の話を聞いたら「僕はどうなんだろう」と自分に置き換えて考えられるようになりました。その結果、他人と比較して羨んだり、愚痴ったりすることが少なくなりましたね。

 昔は「人気アナウンサーランキングで上位に入りたいなぁ」とか、「安住(紳一郎)さんみたいに殿堂入りしたいなぁ」と思っていたんですけど、今は「自分は自分だしな」と、自然体の自分を愛せるようになりました。

 

コミュニケーションが苦手な人におすすめの対話術は?

――「そもそも人と話すことが苦手だ」という人もいると思います。コミュニケーションが苦手な人にもおすすめの対話術はありますか?

ハセン やっぱり、挨拶と笑顔ですね。あとは、目を見て話すとか、自分が話すだけでなく、相手の話もちゃんと聞くとか。どれも基本的なことですが、できていない人は意外と多い。

 逆に言えば、これさえ抑えておけば周りの人から「コミュニケーションが苦手な人」とは思われないはずです。苦手意識が強い人ほど、やってみてほしいですね。