元TBSアナウンサーで、現在はビジネス映像メディア「PIVOT」の番組プロデューサー兼MCとして活躍する国山ハセンさん(33)。今年4月には、「対話力」にフォーカスした自身初の著書『アタマがよくなる「対話力」 相手がつい教えたくなる聞き方・話し方』(朝日新聞出版)を上梓した。ここでは、同書より一部を抜粋して、ハセンさん流の対話術を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

国山ハセンさん ©松本輝一/文藝春秋

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過不足のないコミュニケーションを心がける

 ありがたいことに、仕事とプライベートの両面で、「ずっとお会いしたかった人」と対話できる機会に多く恵まれています。

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 最近では、サッカーに夢中だった少年期からずっと憧れの存在だった本田圭佑さん。

 MCの依頼を受けたイベントのステージに、スペシャルゲストとして登壇した本田さんと初めて直接お会いする機会がありました。

「憧れの人」と初対面。できればよい印象を残して、次につながるコミュニケーションを目指したいものですよね。

 ところが実際には、感動のあまりに緊張しすぎてガチガチになってしまったり、逆に舞い上がって馴れ馴れしく接してしまったり……。

 そんな失敗を私も何度も経験してきたので、本田さんとの初対面では冷静に自分を客観視しながら、過不足のないコミュニケーションを心がけました。

 

むやみに話しかけず、“引き算”を意識

 まずは、“会って0秒”の「笑顔で挨拶」を丁寧に。

 きちんと目を見て短く自己紹介をして、「本田さんはずっと憧れの人でした」と添えました。

 リスペクトは短くはっきりと言葉にして、ストレートに伝えることが大切です。

 本田さんも爽やかな笑顔を返してくれました。

 この時点で好感触はつかめたのですが、だからといって距離を詰めすぎるのはNGです。

 イベントの合間の休憩時間など、リラックスした様子が見られたときにだけ、「いつまで日本に滞在する予定ですか?」と適度なコミュニケーションを取りましたが、基本的にはあまり頻繁に話しかけないように心がけていました。

 本田さんのように多方面で活躍している方は、アタマの中は常に目まぐるしく動いているはず。1人で静かにスマホを眺めている時間にも、きっと何かの準備をしているのだろうと察したからです。

 滅多に会えない憧れの人が目の前にいると、自分を覚えてもらおうとむやみに話しかけに行ったりと頑張りすぎる人がいますが、おそらく逆効果。