むしろ“引き算”をする意識で、回数は少なく、自分のアピールではなく相手を尊重するコミュニケーションが、結果的によい印象を与えるように思います。
感想などを伝えるときは「短く」
この“引き算”はとても重要なテクニックです。
「私も中学時代からサッカーをやっていまして……」といきなり自分の体験談を語り始めたり、「実は本田さんと共通の知人がいまして……」と突拍子もなく関係性をアピールしたり。
自分をよく見せたいがゆえに“足し算”をしてしまいがちですが、聞かれてもいないのに自分の話をするのは、実は思っている以上にネガティブな印象を与えてしまいます。だから、我慢して飲み込む。“引き算”に徹するほうが無難です。
加えて、会えた喜びでつい舞い上がって、根掘り葉掘り聞くのもご法度です。
相手のゾーン(領域)の手前に、ここから先は踏み込んではいけない「透明な柵」があることをイメージして、その柵を越えないように慎重に自分をコントロールしましょう。
本田圭佑さんとはイベントを終えたときにも、「今日はありがとうございました。素晴らしいお話を間近で聞けて光栄でした。これからも応援しています」と目を見て伝えるだけにとどめました。
“引き算の美学”が人生のポジティブ回転を生む
そして、その日の夜か翌日の昼間のタイミングで、あらためてお礼の一言をSNSのダイレクトメッセージで送信。このときも「短く」がポイントです。
長々と感想を書くのは、それを読んでもらうだけで相手の時間を奪ってしまうので、やらないと決めています。
本田圭佑さんからは、収録やインタビューを通していろいろなお話を伺い、貴重な学びや刺激をいただきました。
それだけでも幸運だったのですが、なんと後日、ありがたいことに本田さんが主催する大切なイベントに司会として携わらせていただき、その後もご一緒できる機会を何度もいただきました。
憧れの人とお仕事ができるなんて夢のようですが、自分の想いを伝えるためにも「対話力」が発揮できたのかなと思います。
今後も対話を続けられるつながりに発展したことが、心からうれしく、ワクワクしました。
テンションが上がって前のめりになりがちな「憧れの人」相手の場面でこそ、“引き算の美学”を。
人生のポジティブ回転を生む法則です。
撮影=松本輝一/文藝春秋
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