元TBSアナウンサーで、現在はビジネス映像メディア「PIVOT」の番組プロデューサー兼MCとして活躍する国山ハセンさん(33)。今年4月には、「対話力」にフォーカスした自身初の著書『アタマがよくなる「対話力」 相手がつい教えたくなる聞き方・話し方』(朝日新聞出版)を上梓した。
「『対話』をすることで、人生がポジティブに変化した」と話すハセンさんは、いつ、どんな場面で「対話力」を活かしてきたのだろう。本人に話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)
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転職後、本音で話す機会が増えたワケ
――ハセンさんは2022年12月31日にTBSを退社し、ビジネス映像メディアを運営するスタートアップ、株式会社PIVOTに転職されました。転職後も様々なメディアでハセンさんを見かけますが、アナウンサー時代より本音で対話をしている印象を受けます。
国山ハセンさん(以下、ハセン) TBS時代も、自然体であろうとは心がけていたんですよ。でも、番組ごとに求められるキャラクターがあって。猫を被っていたわけではないのですが、ある種の「プロ意識」として、番組に適した姿を演じている部分はありましたね。
でも今は、自分が出演するコンテンツは、基本的に企画から携わっています。だから、より自然体の姿をお見せできているのかもしれません。
――前編では、本音を話すことで相手も本音を話してくれるというエピソードがありました。転職以降、本音で話す機会が増えたとのことですが、その実感はありますか?
ハセン それは間違いなくありますね。「あ、今は本音で話してくれているな」という瞬間は格段に増えました。
「誰か1人のロールモデルになりたい」と思う理由
――でも、本音で話すのは難しいことですよね。自分をさらけ出すのは怖い、という方も多そうです。
ハセン それで言うと、僕も怖いんですよ。本音をさらけ出すリスクはゼロではないじゃないですか。僕を嫌いになる人もいるかもしれない。
でも、俯瞰して自分を見ると、僕の言うことなんて興味がない人のほうが多いんですよ。そう考えると、本音を言うのはリスクじゃなくて、むしろチャンスのほうが多いなって。
あとは、僕の決断やストーリーに共感して、一歩踏み出してくれる人が1人でもいるといいな、と思っています。
――大勢ではなくて、1人ですか?
ハセン そうです。自分が大勢に影響を与えられると思っていないし、与えたいとも思わない。それよりも、誰か1人のロールモデルになりたいな、と。
――誰かのロールモデルになりたいと思うようになったきっかけはあるのでしょうか。
ハセン 社会人になってから、「どうしてみんな、そんなに周りの目を気にするんだろう」と思う場面がすごく増えたんです。周りの目を気にする理由は、社会通念とか、所属する組織の風土とか、いろいろあるのは分かっています。