「まじかよ!?」と驚愕した怒涛の展開
―― 前半では囲碁で友情を深める姿が描かれますが、後半では囲碁を介して怒涛の展開が繰り広げられます。ネタバレになるので詳細は避けますが、旅路の果てにようやく宿敵を見つけた格之進が「……まさかそう来るとは!」と衝撃でした。
草彅 そう、まじかよ⁉って。でもめちゃめちゃかっこいいよね、凄い世界だと思う。そこら辺は落語の世界が噛んでいてね、面白い化学反応が起きていると思うんだよね。
―― 現代で一から武士の復讐劇を作るとなったら、おそらくあの展開にはならないと思います。
草彅 できないよね。あそこまでわかりやすくて極端なのは、落語がもとだからこそだよね。脚本家の加藤(正人)さんがうまく脚色して、絶妙に落とし込んでくれている。それを白石監督が映像にして……いろんな化学反応が起きて、すごくうまく練られている。
―― 落語も囲碁と同じく何百年もの時を重ねた文化ですが、そうであるがゆえに新鮮にも映ります。それでいて今を生きる観客の気持ちにフィットする人情があり、怒涛の剣戟といったエンタメも盛り込まれていて、とても緩急とリズムがある作品だと感じました。試写をご覧になったファンの方々も「(草彅さんの)新たな代表作になる」と熱い感想を投稿されていましたね。
草彅 僕自身、『碁盤斬り』は新たな代表作だと思っていますね。僕が今持っている力を全て出し切っている。日本の文化も詰まっているし、ここにきて「時代劇だ!」っていうさ。それもすごく新しい色のね。時代劇好きな人はもちろん、そうじゃない人も1回見てみてほしい。絶対に響くところがありますから。今のこの時期、時代で、この作品をやることにもめちゃくちゃ意味があると思うし、あらゆる人を巻き込んで『碁盤斬り』を届けたい。うん、これはね、名作ですね。出ました、「#名作、代表作の碁盤斬り」!感想をつぶやくハッシュタグはこれで!
江頭2:50ばりの演技バトル!?
―― 名作の座長を務められた喜びが伝わってきます。草彅さんはじめ、清原さんや國村さん、斎藤さんに小泉今日子さん、中川大志さん……皆さんの役者魂がこもっていて、どのシーンをとっても「真剣勝負」でした。
草彅 そう! 演技バトルだよね。先輩も若い方々も、みんなものすごいエネルギーを出してるよね、バーッて! その熱量、パッションを浴びながら、それを受けて「じゃあこっちも返さないと!」っていう感じで、受けて出して……もう江頭2:50ですよ。取って入れて出してみたいな(笑)。
―― 最後に、草彅さんご自身についても伺わせてください。格之進はこれだけ真っ直ぐな人で、「曲げられない武士の誇り」が芯にあります。そこを大切に演じられた草彅さんご自身にとっての「これだけは曲げられない誇り」は何でしょうか?
草彅 自分に正直でいたい。やっぱり一度きりの人生、自分に嘘はつきたくないなって。楽しくないのに楽しそうなふりをするとかね。それだけでは生きていけないところもね、人生っていうのはあるんですけど……でも自分が楽しいなと思う方に向かって生きていくことは曲げたくない。そんなふうに思うかな。