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「ドラマの現場」がさらにディープに描かれていく

 本日5月18日に放送される第2回では、ドラマの企画が通りはしたものの、具体化するにあたって生じる問題点を編成部長の長谷部(水野美紀)から厳しく指摘され、未来は企画書の再考を命じられる。さらにその先、第3・4回では、ドラマの撮影に入ってからのアクシデントやトラブルが、赤裸々に描かれるという。

未来の出したドラマの企画が通ったものの、編成部長の長谷部(水野美紀)から厳しいダメ出しをされる ©︎NHK

南野 「第3回でいよいよ撮影が始まって、未来とハルのワクワクから始まるのに、だんだんうまくいかないことが積み重なって、すれ違ってしまいます。私たちの『パーセント』の現場では、幸い大きな問題なく撮影を進められたのですが、たとえばひとつコミュニケーションが欠けていたら。時間やコスト、効率に追われたら。あるいは、誰かを傷つけることになってしまったら。私たち作り手はどう向き合うべきなのか。そもそも『傷つけない』って可能なんだろうか。そういう問題が起こってはならないのだけれど、起こってしまう可能性への自戒と、『なぜ起こってしまうのか』という自問自答をこめながら、3・4回は作りました」

櫻井 「第3回以降はドラマの現場のかなりディープな話になり、観ていてヒヤッとしたりもするんですが、それぞれのプロの矜持が問われるなかで『起こり得ること』を、ちゃんと晒していく話になっています」

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ハルは少しずつ未来に心を開いていく ©︎NHK

「良い企画ならばどんどんやっていこう」というムード

 今回取材をしてみて、今の大阪放送局には若い作り手をベテランがサポートする環境が整っているのだと感心させられた。ちなみに、櫻井CPが制作統括をつとめた近年のドラマのなかには、『探偵ロマンス』(2023)、『わたしの一番最悪なともだち』(2023)など、若手のディレクターやプロデューサーの発案による企画が実現した良作が複数ある。

櫻井 「もともとNHKのディレクターやプロデューサーに関しては、実践するなかで身につけさせるという基本的な考えがあるのですが、キャリアの長短に関係なく、良い企画ならばどんどんやっていこうというムードは、ここ数年でより高まっているかもしれないですね。やはり、作品に対する思いの強い人が先頭に立って作ったほうが絶対にいいですから。NHKの局内では、ドラマ企画の方向性を限定するような方針はないですが、局員一人一人のなかに『昔の当たり前』を問い直さないといけないよね、という意識改革は、当然求められていると感じます」