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「なんで日本のドラマは、障害のある俳優さんが出ていないのか」NHK入局7年目、若手プロデューサーが話題作『パーセント』を作った理由

2024/05/18
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「わからない。でも。あきらめない。」

『パーセント』というドラマのなかでは、障害のある人とそうでない人の「壁」についての問いかけがなされているが、NHK大阪放送局内での「世代の壁」を取っ払った「もの作り」が、こうした新しいドラマを実現させたとも言えそうだ。

第3話からはドラマの撮影に入るが、さまざまなトラブルが発生する ©︎NHK

櫻井 「僕とは親子ほど年齢の離れた世代が入ってきて、昭和世代としては『最近の若手はナイーブだな』なんて思ったりすることもあるんです。でもやっぱり、若い人たちから発せられていることに、こちらも気づくことができなければ、と思うんですね。世の中、老いも若きも双方が『あの世代に何を言ってもね』『期待しないよ、もう』みたいな諦めムードが強まっている気がします。それぞれに壁を作ってしまっているというか。

 そうした息苦しさを感じている方たちにも、未来といっしょに劇団『S』の俳優たちの煌めくような生命力にふれて、『世の中にはいろんな素敵な人がいるよね』と感じていただければうれしいです。偉そうなことを言うつもりは一切ないのですが、未来とハルの成長を見ながら、少しだけ踏み出すことを恐れないような気持ちになって、土曜の夜を過ごしていただければ、こんなにうれしいことはありません」

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本当の「バリアフリー」とは何なのか。未来は悩み、自問する ©︎NHK

タイトルに込めた思い

南野 「今回、私が初めてプロデューサーをやるということで、皆さんいろいろと不安だったと思うのですが、打合せのときに私が喋りやすい空気を作ってもらえたことが本当にありがたかったです。脚本開発でも撮影でも、いろんな世代の意見が通りやすい現場でした。

『パーセント』というタイトルには、『数値って何だろう?』という思いを込めました。今、日本の企業では女性の管理職の数を全体の30%以上にしようとか、数値の目標が掲げられています。でも、別に管理職をやりたくないのに『女性だから』という理由で選ばれてしまう人もいるかもしれない。未来もハルも『女性だから』『障害者だから』という、社会の中でのカテゴリーにモヤモヤして、もがきながら、自分の居場所を見つけていきます。『多様性を認めよう』と言われますが、その言葉の背景には『その人を認めて【あげます】』というような風潮が少なからずある気がしていて。その人がその人らしく、当たり前に生きていける社会ってどういうことだろうと、自問しながらこの作品を作りました。

 このドラマで何か大きく『このメッセージを受け取ってください』というものはないのですが、人が生きてく上で、相手と向き合うことを諦めないことはとても大事だと思っています。『わからない。でも。あきらめない。』という番組キャッチコピーの通り、『わかんないよね』で止まるのではなくて、一緒に考える時間ができたらいいな、と思っています」

INFORMATION

土曜ドラマ「パーセント」

5月11日(土)スタート[全4回]
毎週(土)[総合]午後10:00〜10:50
毎週(土)[BSP4K]午前9:25〜10:15

【再放送】
翌週(水)[総合]午前0:35〜1:25 ※火曜深夜

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