1日33円、メガネに払えますか?
――最近では、これまでのイメージを覆す高級感のある店舗もオープンしています。
星﨑 客単価が上がれば、その価格に対して納得ができる接客や検査、雰囲気も大切になってきます。これまで百貨店で購入されていたお客様が増えていることもあり、雑然とした店内の雰囲気を一新するため、重要拠点の1つである高田馬場本店をリニューアルしました。
――通常の店舗とはどのような違いが?
星﨑 まずお店を広々とした落ち着いた空間にして、高級感を持たせています。また目のリラクゼーションサービスを行なっており、検査前にリラクゼーションで疲れ目状態をリセットさせることで、検査精度の向上にもつなげています。その他、「夜間視力検査機器」を設置し、従来の店舗では25項目だった検査を40項目にするなど、検査内容も充実させました。
これが大成功で、売上が前年比140%になっているのに加え、客単価も4~5万円まで上がったんです。今後はこの付加価値型次世代店舗をさらに増やす予定です。
――消費者側の意識も変わってきているのでしょうか。
星﨑 お客様のなかには、「一度安いメガネに浮気したけど、また戻って来たわ」とおっしゃってくださる方もいます。
3万6000円のメガネと聞くと高いと思われるかもしれませんが、3年で買い替えるとすると、1カ月1000円。1日33円なんですよ。情報の8割が目から入るといわれているなかで、「1日33円も目に敬意が払えないんですか?」という話で。我々は少しでも多くの人の目を守るために、現在目の検査や構造をさらに研究するための部門を作っています。「メガネスーパー=目のことを真剣に考えてくれるコンシェルジュ集団」にしようと、取り組んでいるところなんです。
就任5年でメガネが100本に
――ちなみに星﨑さんはメガネを何本ぐらいお持ちなんですか。
星﨑 100本ぐらい持ってますね。
――メガネスーパーに来られてから5年で100本ですか!
星﨑 そうです。私はメガネのことを知らなかったので、遠近、中近、近々、それから単焦点とあらゆる種類のメガネを作って、複数持ち歩いています。私はメガネの扱いがヒドく、まるでメガネのル・マン耐久レースといったような使い方をしているのですが(笑)、壊れることでいち早くフレームの弱点に気が付くこともある。それに様々なフレームやレンズを使うことで問題提起もできるので、これからも何百本と増えると思います。
――実体験による意見が、もっともリアルですからね。
星﨑 使ってみて思うのが、メガネって遠近両用1本だけで済ませようとする方が不自然だということです。屋外で遠くを見るときと室内で仕事をするときでは必要な度数も違うし、極端に言えば朝と夜でも視力は違う。ファッションの観点から言っても、洋服は細かくTPOで使い分けるじゃないですか。それぐらいメガネはたくさんあったほうが良いと思っていて、社内外に一生懸命提唱しているところです。半年ぐらい声かけしているんですが、ようやく花開いてきた感じがあって今絶好調なんですよ。
メガネやコンタクトは地味なアイテムだと思っていたんですが、深く知るほど楽しくて、今もワクワクしているんです。
写真=平松市聖/文藝春秋