「岸田総理が森元総理に対してきちっとその時の件について詳しく聴取をする必要がある」
5月15日、東京都内で講演した下村博文元文科相は、自民党の政治資金パーティを巡る裏金事件について語り、岸田文雄首相の責任を追及した。
政治部記者が語る。
「下村氏が念頭に置いたのは、『文藝春秋』6月号に掲載された森喜朗元首相のインタビューでしょう。ノンフィクション作家・森功氏の取材に応じた森元首相は、4月上旬に岸田首相から事情聴取をされた際、裏金問題に関する具体的な質問は無かったことを明かしています。これに対して岸田首相は会見で、『森氏の具体的な関与は確認できていないと申し上げてきた。この発言はまったく変わらない』と苦しい言い訳を余儀なくされています」
「検察のターゲットは森さんですよ」
「文藝春秋」のインタビューの中で森元首相は、安倍派(清和政策研究会)の会長代理を務めた下村氏の裏金問題への関与についても、次のように明かしていた。
「下村君がマスコミに派閥の資料を持ち込んで売り込んだ、といった類の話もあります。マスコミだけでなく、党の関係者など方々から聞きました。安倍会長が(キックバックを)やめろと言っていた話をひっくり返したのも森だ、と。名前は言えませんが、検察サイドの人からそう聞きました。『検察のターゲットは森さんですよ。気をつけなさい』とアドバイスしてくれた人もいます」
パーティ券売り上げのキックバックは、安倍晋三元首相が中止するよう指示したものの、没後の2022年8月5日に下村氏と塩谷立元文科相、世耕弘成前参院幹事長、西村康稔前経産相ら派閥幹部が会合を開き、還流再開を決めたとされる。それには森元首相の意向が働いたという情報も流れたが、森氏はインタビューで否定している。