『東京ラブストーリー』は最終話の視聴率が32%を超え社会現象化した作品ですが、筆者もその狂おしく切ないストーリーにどハマりしたひとり。
簡単に説明すると、カンチ(織田)のことが好きなリカ(鈴木)と、カンチが高校時代から片想いしていた同級生の女性による三角関係のお話。劇中のそこかしこに90年代前半のバブリーな空気感が満ちていて、ドラマファンの間でいまなお語り草になっているリカのセリフ「ねぇ、セックスしよう」が象徴しているように、恋愛至上主義ともいえる当時の若者たちの生き方を凝縮したようなドラマでした。
織田さんが演じたカンチは、リカと同級生の間をフラフラ行ったり来たりしてしまう男。リカを応援していた筆者は何度もカンチの行動に憤慨しましたし、最終話の結末も茫然としてしまいました。
ただ、織田さんによる至上の“優柔不断男”演技があったからこそドラマが盛り上がり、恋愛ドラマの金字塔となりえたとも言えます。
『東京ラブストーリー』で大ブレイクの後は…
2番手キャストとして出演した『東京ラブストーリー』でブレイクした織田さんには、主演ドラマのオファーが続々と舞い込むようになります。主演でのヒット作となったのが1993年の連続ドラマ『振り返れば奴がいる』(フジテレビ系)。
織田さんと石黒賢さんのダブル主演作であり、後に稀代のヒットメーカーとなる三谷幸喜さんが、初めて本格的に連ドラ脚本を執筆した作品でもあります。
織田さんが演じたのは、卓越したオペ技術を持っていながら、苦しむ患者を無視するような態度を平然と取る天才医師。石黒さん演じる正義漢の医師と対立し、激しく衝突していくというストーリーでした。
こちらも結末が衝撃的で、ネタバレになりますが主人公2人がそれぞれ別の理由で亡くなってしまう(と推察できる)というエンディング。ラストに主人公が亡くなるというのは90年代ドラマの“あるある”になっていきましたが、『振り返れば奴がいる』の頃はまだかなりショッキングな出来事として受け止められていたのです。
また、『振り返れば奴がいる』の主人公像は、その後の織田さんの役者人生に大きな影響を与えていたように感じます。