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この“竹田くん”は、すでにA病院の患者から民事と刑事の両方で訴えられている一方、自身は専門医試験の受験を妨害されたなどとして、赤穂市と前院長などを相手取り、2023年10月に損害賠償請求訴訟を起こしている。

同じ医師である筆者としては「あんなに有名になったし、複数の訴訟を抱えた医師ならば訴訟に忙殺されるので、予防接種などで地味な職場で働いているだろう」と予想していたので、「救急医」というポジションで雇う病院が存在したことに驚かされた。

竹田くん三度リターンズ!

そして2024年5月、漫画のモデルとなった外科医は三度メディアに登場する。

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〈私は長年この病院に勤めていますが、こんなにひどい医者は初めてです。彼の力量不足とデタラメな処置で、治るはずの患者さんが、命の危機にさらされることが度重なっています。今すぐ医者を辞めてほしい。多くのスタッフが、心の底からそう思っています〉

B病院を辞めた“竹田くん”は、救急医としてC病院へ転職していたのだが、このC病院のスタッフによる上記のような内部告発が週刊誌に掲載されたのだ(『週刊現代』2024年5月11日号)。

週刊誌にはC病院院長のインタビューも掲載されているが「患者さんへの謝罪の気持ちと、手術への熱意が感じられました」「ご指摘のミスは、医師なら誰でも判断に迷うようなもの」「竹田くんは今、一人前に成長しつつあります。われわれには彼を教育する使命があります」と一貫して彼を庇っており、雇い続ける方針のようである。この発言や報道が真実であれば、この病院には絶望するしかない。

ゼークトが警鐘した「無能な働き者」

ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトが提唱したとされる「組織論」では、人材を「有能/無能」「働き者/怠け者」の指標を用いて4つに分類している(図表1)。

ゼークトによれば、最後の「無能な働き者」は「銃殺」という強い言葉で組織からの排除を奨めている。

医師で言えば、順に「有能な怠け者」タイプは「ワークライフバランス医師」として開業やフリーランスなどで働くケースが多い。「有能な働き者」タイプは「スーパードクター」として崇められるが、近年では減少の一途をたどっている。あるいは、古臭い日本の医療界を見限って海外転職するケースが目立つ。