ファッションブランド「NISHIMOTO IS THE MOUTH」のディレクターを務める西本克利(45)。
全身タトゥーでも注目される彼に、全身に彫るまでの経緯、彫り師との出会い、全身タトゥーに対する周囲からの視線などについて、話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
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タトゥーを彫ろうと思ったきっかけ
ーータトゥーは、総額でいくらぐらい掛かっていますか。
西本克利(以下、西本) ベンツのアレを買えるなっていう。四駆みたいなやつ。
ーーゲレンデですか?
西本 ゲレンデ。
ーー結構しますね。
西本 少なくとも1500万円ぐらいは掛けてますね。その都度なんで、正確なとこはアレですけど、まあゲレンデ買うよりはタトゥーのほうがよかったと思いますし。なんたって、オンリーワンなんで。同じタトゥーを入れたいといっても、たぶん入れられないと思うし。
ーーそこまでたどり着くのに何年ほど掛かりましたか。
西本 25歳から39歳まで、15年ほど掛けて少しずつ彫ってきました。ブランドのお店で働くようになって、その時は3つぐらいしかタトゥーが入ってなかったんですよ。給料も良かったので、彫ってもらいたい彫り師の方を見つけてお願いしたのが始まりですね。
25歳あたりで部族やトライバル柄に興味を抱く
ーーその彫り師の方というのは。
西本 YASさん。タトゥー雑誌を読んでいて、「かっこいいな」と思うやつが全部YASさんだったんですよ。僕、絵柄とかデザインがデカいやつより細かい緻密なやつのほうが好きで。YASさんの彫るものってのが、僕の好みとハマって。
で、僕の手の写真とか撮って連絡してみたんですけど、まったく返事が来なくて。あきらめようかなと思ってたら、その1年後くらいにメールが来て。僕の手の写真に、黒で描かれたデザインがほんとドンズバでかっこいいトライバルだったんですよ。トライバルしか興味が無かったのもあって、「この人に絶対彫ってもらおう」って。
ーートライバルって、部族系のデザインのものですよね。
西本 そうです。死んだら葬式じゃなくてお祭りをするとか、そういう部族の生き方というか考え方が結構好きで。ある部族が、成人したら胸と鷲を繋げて、鷲を飛ばせて、肉を引き切るっていう成人の儀式をやっていて。痛みと成人になった重さみたいなものを紐づけるというか。やっぱり痛みっていうのは、忘れられないものなんで。
その考えってタトゥーに近いなと思って、部族とかトライバル柄に興味を抱き出したのが25歳あたりだったんですよね。でも、ちゃんと働いて、それなりの給料をもらえるようになったからタトゥーを入れたってのが一番デカかったですね。