メトロが、お野菜を作っているらしい――。メトロとは、ご存知東京の地下鉄網を支える東京メトロ。鉄道会社、それも地下鉄会社が野菜づくりとはいかにも違和感たっぷりの組み合わせだ。一体どんな野菜をどこで作っているのだろうか。
ベビーリーフ、ハーブ、レタス 11種類を水耕栽培
というわけでやってきたのは西葛西駅近くの東京メトロ東西線の高架下。飲食店が軒を連ねる商業施設や駐輪場に挟まれた小さな区画に、まるで秘密基地みたいな小さな建物が建っている。聞けば、この秘密基地が東京メトロの“農場”なのだという。ちょっと訝りながら扉を開けて小屋の中に入ると……そこには水耕栽培のプラントが7基並ぶ。そして、プラントの中では様々な野菜を栽培中だ。今にも収穫を待つかのように生い茂っている葉っぱもあれば、発芽したばかりと思しき小さな葉っぱもある。種類はベビーリーフやハーブ、レタス類が中心で実に11種類だとか。
「事業を立ち上げたのは3年ちょっと前の平成26年12月。2年間のパイロット期間を経て、現在では東京周辺のホテルを中心に提供させていただいています。プラント7基をフルに使って、生産量は1日400~500パックほどですね」
なんでメトロが野菜つくってるの?
こう話してくれたのは、東京メトロの植物工場事業「TOKYO SALAD」を担当している事業開発本部の柴崎遼太さん。でも、そもそも一体何で地下鉄会社が野菜づくりをしているのだろうか。
「東西線の高架下の遊休地をどうにかして活用できないかというのがひとつ。そしてもうひとつは、食への安心安全の意識が高まっている中で、一貫して安心安全を追求してきた鉄道会社としての弊社の強みが野菜へのニーズと一致するのではないかと考えまして、新規事業として立ち上げました」(柴崎さん)
プラントを使った水耕栽培にしているのは、限られた土地を有効に使うため。さらに、閉鎖型なので虫の侵入を防ぐことができ、農薬不使用で栽培できるというメリットがあるからだという。