「実は鬱で通院もしているんですけど、鬱だとお風呂に入れなかったり、ご飯が食べられなかったりする。でも…」

 役者、漫画家、舞台作家などさまざまな分野で活躍するクリエイターの中野さんだが、メンタルが安定せず、ときには生活にも支障が出ることも…。そんな彼の負担を和らげた「意外な趣味」とはいったい? インタビュー後編をお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

中野さんを救った趣味とは? ©山元茂樹/文藝春秋

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コスプレにハマった「きっかけ」

――中野さんがコスプレをするようになったきっかけを教えてください。

中野 コスプレデビューは1991年のこと。僕は出身が大阪なんですけど、大阪のゲームセンターでゲームの大会がありました。その時にゲームセンターの店員さんがコスプレイヤーで、その大会ではコスプレでの参加歓迎みたいな感じだったので、やってみたのが最初ですね。

――当時のコスプレはどんな感じでしたか?

中野 時代的にもコスプレにクオリティがそこまで求められない時代で、どちらかというと、みんなで楽しくするためのツールとしての側面が強かった。僕がやっていたのはSNKの『餓狼伝説』に出てくるビリー・カーン。裸にオーバーオール、バンダナを巻けば簡単になりきることができました。

 それから高校生のときには、『餓狼伝説SPECIAL』のダック・キングというキャラをやりました。コスプレのために頭を剃ってモヒカンにしましたね。

――コスプレ遍歴は格ゲー趣味からはじまったんですね。

中野 もともと僕は家庭環境が複雑で、小学校に上がる前からゲームセンターが遊び場だったんです。何度か転校もしたせいで友達も少なくて。中高生あたりで格ゲーブームがきたので、それに親しむのは必然でしたね。

――ちなみに今の髪型がスキンヘッドなのはコスプレのため?

中野 いいえ。理容師さんとコミュニケーションを取るのが億劫なので床屋には行きたくない。でもそのまま髪の毛を伸ばすのは嫌だったので、最初はモヒカン。次にスキンヘッドを選んだという形です。

――コスプレする際、中野さんはどんな基準でモチーフを選んでいるのでしょうか。