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窓から「バケモンッ!」って叫ばれた

 アメリカ滞在で英語能力を得つつ、日本人としての教育も受けたみずきだったが、日本へ帰国後の学校生活は穏やかではなかった。

筆者:日本に帰ってきてから驚いたことはある?

みずき:やばって思ったことは、(中学のとき)普通に学校から帰ろうと思って(校舎の外を)歩いてたら、廊下の階段の踊り場に窓あるじゃん? そこから「バケモンッ!」って叫ばれたことが一番衝撃的だった。

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 帰国したみずきは、地元の公立中学校に転入した。転入生そのものが珍しかったうえに、海外から来たということが異質感につながったようだ。

みずき:「内と外」の文化を強く感じた。ちょっといじめっぽかったし。

筆者:そんなことあるんだね。

みずき:地方の公立の中学校なんてほんとに閉鎖的だから。それ(バケモンと呼ばれたこと)が一番ショックだったな。

写真はイメージです ©AFLO

「内と外」という大きな壁

 みずきは、周囲から異質と捉えられた原因を次のように語った。

みずき:海外からの転入生じゃん。しかも制服が間に合わなくて、そのとき、周りと比べて体も大きかったし、登校初日に私服で行ったんだよね。それで第一印象のインパクトが大きかったんだと思う。全く馴染んでなくて。アメリカンサイズの、アメリカンな雰囲気が日本人じゃないっていう決めつけというか。それに付随して、日本語(できないという意味で)やばいんじゃない? みたいな決めつけを持たれて。

 みずきは、地元の人との違いから、勝手なイメージを持たれてしまった。それはみずきに「内と外」という大きな壁を感じさせた。前述のとおり、みずきはアメリカで現地校に通いつつも日本人学校にも通い、日本人の子どもとしての教育も受けている。みずきは自分を異質物と捉えた環境に苦い感情をぶつけた。

みずき:田舎の(人にとっての)外国のイメージって、とにかく遠いところっていう感じなんだよね。外国人は全く違うもの、日本語はできないものっていう固定されたイメージが強くて。だから学校では話しかけづらい、話しかけない。「これ分かる?」とか好奇心と嘲笑を含んで聞かれて、「分かる」って言えば、「外国人なのになんで分かるんだ」って顔されるし。でも自分のなかではちゃんと勉強してきたし、なんなら君たちより日本語のレベル高いよって感じてた。私は日本人で、外国人ではない。「外人」っていうふうに決めつけられるのが苦痛だった。「外人」っていうのは外国人っていう意味だけじゃなくて、差別的な意味が含まれてる。