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猪木が「そうですか、私に出来ることがあれば協力させてもらいます」と返すと、岩澤は身を乗り出すように言った。
「罪滅ぼし、ここでして下さらない?」
「そこで、ご相談ですが、猪木さんに出場してもらいたいのですが」
そう言うと「難しいですね。ご承知の通り、私は現役を引退した身ですから」と猪木は答えた。
ここで、敬子が口を開いた。
「猪木さん、十三回忌のときの罪滅ぼし、ここでして下さらない?」
すると「ずるいなあ、その話をここで持ち出すんですか」と猪木は相好を崩した。
「だって、ここしかないじゃん」
そこから話し合いは進み「じゃあ、エキシビションなら」と猪木は折れた。
次に対戦相手の選定に入った。ドリー・ファンク・ジュニア、ビル・ロビンソン、ビッグバン・ベイダーなど往年の好敵手の名前が挙がったが、いずれも乗り気ではなさそうだった。「もういい」と顔に書いてあった。
「では、どなたか、戦いたい相手はいますか」
若いスタッフが恐る恐る尋ねると、猪木は真剣な表情でこう言った。
「俺は藤原紀香となら喜んで戦う」