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「もうあまり大したものは入っていないだろうと思っていた」800年続く京都・冷泉家の当主が、藤原定家直筆の書物発見の経緯を語った

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 箱を開ける調査は、2022年10月3日に始まった。

〈氏神様の神官に来ていただいて神事を行い、和歌の神々と祖先に箱を開けることへの許しを請いました。

 冷泉家では、何か大切な事を成す際に、「神降ろし」、「神上げ」の儀式を行います。今回も調査に当たる者は口をすすぎ、手を洗い清めてから箱や書物に触れることになりました〉

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秘伝の箱から見つかった「顕注密勘」 提供:冷泉家時雨亭文庫

「定家さんのお陰で日本の古典文学が成立している」

 こうして開けられた箱からは、「古今伝授」を受けた代々の当主が、勉強の成果を記した「勉強ノート」も多数見つかった。

 冷泉為人氏には、遠祖にあたる藤原定家の功績について、忘れられない言葉がある。

〈関西大学教授だった片桐洋一先生は、あるとき私にしみじみとこうおっしゃいました。

「定家さんが存在し、古典の書写活動を盛んにやってくださったお陰で、現代の日本の古典文学が成立しているのです」

藤原定家 提供:冷泉家時雨亭文庫

『源氏物語』が読み継がれなかった可能性も

 この言葉は今も私の脳裏に強烈に焼き付いています。

『古今集』はもちろんのこと、『更級日記』や『伊勢物語』、『源氏物語』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』なども、おおむね定家が書写した本が底本となっています。裏を返せば、彼が精力的に書写をしてくれていなければ、これらの作品が現在にまで読み継がれることはなかったかもしれません〉

 冷泉為人氏は、発見された『顕注密勘』が定家直筆であると証明された理由、婿養子として冷泉家に入って感じていた不安や重圧をはらってくれた俊成の書などについても語った。

 そのインタビュー「直筆の藤原定家に仰天した」は、6月10日発売の「文藝春秋」7月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

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直筆の藤原定家に仰天した
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