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お金の引き出しに30%の税金?

「もうこれで十分なんですよ。必要ありません」

「私はあなたを助けるために最善を尽くし、多くの時間を費やしてデータを分析し、自分のお金を貸したいとまで思っている。それなのになぜ必要ない?」

 このセリフは詐欺師特有のものだ。急にA子に不信感を抱き始め、「とりあえず20万円下ろしたい。引き出しの手続きをしてほしい」と頼んでみた。

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「あっ、引き出しには税金が30%かかりますよ」

「はい?」

「元金の100%を超えた金額に対しては30%の税金がかかるんです」

「そんな話は聞いていない」

「お金を稼いだら税金を払うのは当たり前ですよ。誰でも知っていることです。自分で払ってください」

 A子がサイトのカスタマーサービスに具体的な金額を問い合わせるべきだというので、《私は出金にあたって、どれぐらい税金を支払う必要がありますか?》と打ち込んでみたところ、次のような答えが返ってきた。

《尊敬するユーザー、こんにちは。米国国税局(IRS)と米国金融機関規制局(FINRA)の規定によると、個人投資収益が100%に達した後、30%の国際税務を納付する必要があります。現在の利益は国際税務要件を超えており、現在の利益は$16850.50であるため、個人所得税の30%を支払う必要があります。16850.50×0.30=$5055.15、税務を納めた後に、あなたのために出金を手配することができて、できるだけ早く税務を納めてください!》(原文ママ)

 要するに約72万円を支払わなければ、自分の金を出金することができないと言っているのだ。手数料がかかる、保証金がかかる、税金がかかる……これらはいずれも詐欺師の常套文句だ。

CME 偽サイトと確信したカスタマーサービスの返答

えらいところに金を振り込んでしまった

 一気にカラクリが見えてきた。やたらA子が増資を勧めたのも、詐欺事件の話をするとすぐ話題を変えたのも、投資のときだけやたら日本語が冗舌になるのも、こちらの年収を知りたがっていたことも、すべてはリサーチのためだったのだ。

 えらいところに金を振り込んでしまった……。これはすでに刑事事件に片足を突っ込んでいるのだから、弁護士案件か警察案件だろう。その翌日、大阪出張だったので、とりあえず「大阪 弁護士 投資」で検索してみた。すると、トップに浮上してきたのが川口正輝弁護士のホームページだった。

依頼した川口正輝弁護士のホームページ

《被害に遭われていたとしても…ご安心ください。返金の可能性は必ずあります。私に任せてください。絶対に泣き寝入りはさせません》

 本当か。安心していいのか。返金の可能性があるのか。何て頼もしい弁護士先生なんだ。